ラーメン家ひろき エピソード2/無敵のオーダー

2011.03.23

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ラーメン家ひろき エピソード2/無敵のオーダー

2011.03.23

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ラーメン家 ひろき
(上の画像は、後日晴れた日に撮り直しています)

『ラーメン家 ひろき』

勢いを増して、
加速する、降雨。

店裏にある駐車場に車を停め、
東脇の狭い隙間を抜けて、店内に走りこむ。

少し薄暗く写る印象に、以前から、
<なんだか入り辛いな・・・>とも思っていたのだけれど、
明るい店内は、入ってみると意外と落ち着ける。

座ると、おばちゃんが水を持ってきてくれた。
奥には、店主らしき男性の姿がある。

店主の方が、だいぶ若く見える。
二人は親子なのだろうか。

ラーメンは、
醤油、味噌、塩の三種。

<味噌が良いか・・・!
いや・・・醤油でも・・・!>

メニューを見るや、
いつものように、竜一を襲い始める迷いの念。

しかし、竜一はそれを跳ね返す・・・!

家を出る前から決めてきた俺に・・・!
死角はねぇんだよっ・・・!

「すいません・・・!
塩バターラーメン・・・!」

どもらない・・・!
竜一・・・!

寸分も・・・!
どもらないっ・・・!

迷いもしない・・・どもりもしない・・・!
つまり・・・今の俺は・・・無敵・・・!

スターを得たマリオのようなもの・・・!

知っているかい・・・!?
スターがあれば・・・触れるだけで飛び上がっていたマリオが・・・
逆に・・・触れるだけで飛び上がらせられることをっ・・・!

そんな竜一に、
おばちゃん、普通。

「はい。塩バターラーメンね」

すげぇ・・・!
おばちゃん・・・並大抵じゃねぇ・・・!

無敵モードに入った俺に対して・・・
至って・・・平常心・・・!
さすがは・・・百戦錬磨・・・!

ここは俺も大人しく待つぜ・・・!

他の客はいない店内で、
塩バターラーメンが出来上がるのを待つ竜一。

手持無沙汰から、
無駄に携帯をいじる。

入っているハズの無い新着メールを問い合わせてみたり、
どうでも良いことを検索してみたり・・・。

この行為に何の意味も無いことは、
自分が一番よく分かっているのだけれど、
ジッとして居られない。

店の隅の上方に置かれたテレビ。
音声に、外から聞こえる雨音がわずかに混じって聞こえる。

<雨・・・よく降るな・・・!>

前日までの、晴天が嘘のように、
雨は止まる気配もなく降り注いでいる。

暫くすると、
おばちゃんが両手でドンブリを持って、
ソロリソロリと歩み寄って来た。

(エピソード3へ続く)
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