本格手打 うどん処 楓 エピソード1/逆境の変化球

2011.11.16

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本格手打 うどん処 楓 エピソード1/逆境の変化球

2011.11.16

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"一杯のうどんを食べるということは、
こんなにも大変なことなのか・・・!"

今夏以降、
私はそれを思い知らされている。

あるうどん屋さんに出向いたら、臨時定休日。

また、あるうどん屋さんに夜に出向いたら、
私が行った曜日だけ、夜営業なし。

さらに、理由は分からないが、
ナゼか店が開いていない、謎の休業パターンなどなど・・・。

もはや、「竜一が来ると分かったら、暖簾を片付けているのではないか!」
と思わざるを得ない状況下、新たに開店された穴場的うどん屋さんに出向いたら、
以前に前を通りがかった際に見た、『うどん』と書かれたのぼりが無い。

大きな窓の奥に見える店内は、やけに暗い。

その時点で、嫌な予感しかしなかった。

店前の道路上に車をとめて様子を伺っていると、
中から店主と思われる男性が出て来て、苦笑しながら言う。

「すいません・・・!
今日はもう出汁が切れてしまいまして・・・!」

「あぁ・・・はいはい・・・!」

まさかのパターン。
まさかの出汁切れ。

<そう来たか・・・そう来たかそう来たか・・・!
麺切れならいざ知らず・・・出汁切れと来たかっ・・・!>

が、少し思った。

<俺・・・別に・・・出汁要らんけど・・・!
醤油うどんで全然問題無いんやけど・・・!>

しかし、店側が既に暖簾も片付けてしまって、
食わす気ゼロの状態では、どうしようもない。

<けっ・・・最近の俺は・・・!本当にツキが無いし・・・!
なにしろ・・・"うどん運"に見放されてやがるっ・・・!>

しかし、お腹が空いた。

<喰えませんでしたから・・・帰ります・・・!?
そんなことが出来るか・・・俺のお腹はペコペコっ・・・!>

グーグーグーグー・・・!
鳴り響いてんだよっ・・・!

私は、急遽、
他の店を脳内検索した。

検索結果が出るのに、大して時間は掛からなかった。

<こんなこともあろうかと思っていた・・・!
ツキ・・・うどん運に見放された今なら・・・!
何が起きても不思議は無いと思っていた・・・!>

クク・・・すべては想定の範囲内・・・!
ならば・・・!二の矢・・・!

ストレート・・・真っ向勝負で駄目ならば・・・!
変化球・・・伝家の宝刀でねじ伏せてやるっ・・・!

打者の手元でクイッと曲がる、岩瀬のスライダーみたいにして、
『サンシャイン朝倉』の前をクイッと曲がって、住宅街に進入。

一年半ぶりだった。
何度か来た道、迷うことも無く辿り着く。

本格手打ち うどん処 楓

『本格手打 うどん処 楓』

閑静な住宅街の中で、
一層の趣を増して佇んでいた。

砂利が敷き詰められた庭に車を停めて、入口へ歩く。

店から漂う空気に、
以前は感じなかった独特の雰囲気、風格を感じた。

(エピソード2へ続く・・・!)
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