<大盛無料・・・!>
メニューに書かれたその文言を僕はもう一度見直した。
たしかに"大盛代金はいただきません"と書かれている。<ありがたいっ・・・!>
おそらく高知で唯一の塩ラーメン専門店、『塩麺独歩・相棒』
("独歩"と書いて"どっぽ"と読むみたい)
いつもならメニューの決定にかなり頭を悩ませるけれど、このときはナゼか迷わなかった。
<絶対的にチャーシューめんだ・・・!>
と僕は思った。<肉ッ!肉ッ!肉ッ・・・!>
テーブル席が4組ほどあるだけの小さな店内。
平日ということもあるのか、スーツを着たサラリーマン風の人が多い。
超音波を送って呼ぶ、店のお姉さん。
そしてチャーシューめんを、もちろん大盛で発注。
黙って待つ。
沈黙の要塞みたいにして。
結局、僕はチャーシューめんを待っているあいだ、一言も喋らなかった。
いや・・・むしろ僕が1人で喋っていたとすれば、それはそれで怖いものがあるだろうけれど・・・。
チャーシューめん大盛・・・!キタッ・・・!
<ほぇー!>
と僕は思った。<ふぉっふぉっふぉっふぉっ・・・!>
中央には天高く盛られた水菜。
その上に糸唐辛子が散りばめられている。
さらに、その脇にキクラゲとタケノコ。
<ほぇー・・・!>
と僕はまた思った。<新しい・・・!>
テンコ盛りの水菜・・・!タケノコ・・・!洗練されたデザイン・・・!見たことがない仕様!見たことがないフォーム・・・!うぉぉぉぉっ・・・!新種のラーメンだぁぁぁッッ・・・!
注目のチャーシューは、炙られている。
箸で麺をつまむ。
<細麺・・・!>つまんで食べる。
<プルンッ!プルンッ!してるッ・・・!>
かなりタイプ・・・!
結婚したい・・・!
秒速で恋に落ちた僕は、注目のチャーシューに手を伸ばす。
<食べてみると見た目の印象よりも肉厚!食べ応えがある!>
炙られたチャーシューの良い香りが、スープに混じる。
あっさりしているけれどコクがあるスープは、炙りチャーシューの香りで、さらに攻撃力を増す。
<なにか・・・このコクというか・・・スープに深みがあるのは・・・>
と僕は思った。<これが塩麹・・・?これが独歩のスープに入っているという塩麹のチカラ・・・?>
僕には詳しいことなんて何ひとつわからない。
わからないけれど、僕はプルンップルンッの麺を食べて、スープも最後の1滴まで飲み干した。
そして店のお姉さんに会計をしてもらっている最中、僕は口の中から外に漏れないぐらいの声で言った。
「圧倒的・・・!
攻撃力ッ・・・!」
◆ 塩麺独歩 相棒
(高知県高知市二葉町4-1)
営業時間/11時~14時LO、18時〜21時(LO.20:30)
定休日/火曜日
駐車場/有(店舗南側)
『塩麺独歩・相棒』の地図