どんぶりころころ 前編/自動伝達式・食券販売機

30歳を過ぎて、私はどんどん弱っている。
以前はうどんの「特盛(3玉)」なんて余裕だった。

しかし数ヶ月前に、佐川町のうどん屋『とがの藤家』の特盛で深刻なツラさを味わってから、自分自身の内臓の衰えをハッキリと自覚した。

いくら「とがの藤家」の特盛が、他店の特盛よりも明らかに・・・格段に量が多いとはいえ、私は確実に弱ってきている。
食べれない。以前ほど食が進まない・・・。

ぬぉぉぉっ・・・!俺の食は・・・!
確実に細くなってきているッ・・・!

どんぶりころころ9

どんぶりころころ1

食券販売機の前に立つ。
『どんぶりころころ』の食券販売機はタッチパネル式だ。

<圧倒的メニュー数だな・・・!>
と私は食券販売機を操作しながら思う。<入口に貼ってあったメニューで見た”唐揚丼”はどこだ・・・>

定食も魅力的だったけれど、初めての『どんぶりころころ』だ。
私は店名にもなっている「どんぶり」を食べることにした。

聞いた話では、ここの「どんぶり」で頭に「びっくり」が付くメニューは、かなり量が多いらしい。

私は30歳を過ぎて食が細くなってきている。
私は私の内臓が完全に衰えてしまう前に、「どんぶりころころ」と勝負がしたかった。

<死線を彷徨うような勝負がしたい・・・が・・・>
私は食券販売機のタッチパネルを指先で叩きながら思案した。<俺は、ころころさんの実力を知らない・・・!いきなり”びっくり”は危険だ・・・!びっくりするような攻撃により叩き潰されてしまうかもしれない・・・!>

ならば・・・あいだだ・・・!
あいだを取るんだ・・・!

あいだを取って・・・!
並でもない・・・びっくりでもない・・・!

「大盛」で勝負だっ・・・!

どんぶりころころ2

どんぶりころころ3

食券販売機を操作して食べたいメニューを選ぶと、それがそのまま自動的に厨房へ伝わるシステムになっている。
お店の人に食券を渡す必要はない。

それを私は事前の情報で知っていたので、私は迷うことなく、食券を手に、手前から店内の奥まで伸びるカウンター席へ歩いていって腰を下ろした。

けれども座って「唐揚丼」のでき上がりを待つあいだ、ずっと不安だった。
<俺の注文は本当に通っているのだろうか・・・>

背中側にある厨房で、男性の店主が1人、忙しそうに働いている。
しかし訊けない。「僕の注文・・・通っていますか?」とは、なんだか恥ずかしくて訊けない。

他のお客さんが入ってきた。スーツ姿の若い男性だ。
男性は慣れた手つきで食券販売機を操作したあと、私から離れた位置のカウンター席にそのまま歩いていって腰を下ろした。

<大丈夫・・・ぽい・・・?>
私は少し安心した。<だってあの人・・・俺と同じように店主に何も伝えずに食券を持ったまま座ったし・・・>

注文は通っていると信じて待つ。
男性客が多いのかなと、なんとなく思っていたけれど、店内には若い女性同士の客もいる。

私はカウンターの上に置かれたメニューを観察していた。そのとき店主が言う。
「唐揚丼の大盛でお待ちのお客様ー!」

<きたっ・・・!これは完全に俺・・・!俺の注文・・・!>

厨房のほうへ取りにいく。
最初はコワモテに見えた体格が良い店主が、ニッコリと微笑みながら盆に乗った唐揚丼を渡してくれる。
店主は真顔だとコワモテだが、笑うとイイ人にしか見えない。

(後編へ続く・・・!)
『後編を読む』

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著者

竜一

農場経営とブロガーをしています。農協系露地ショウガ農家。1982年高知県生まれ。農業界のうどん野郎/2歳児のパパ/ブログ歴14年/特技は草刈り。ブログとTwitterで「食と農業」をテーマに発信していて、最近は日本の食文化、とくに「家庭料理」に興味があります。


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