【高知市】日曜市うどん

2014.02.13

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【高知市】日曜市うどん

2014.02.13

日曜市に、うどんを出す店があると聞いた。
<なにそれ素敵…!甲子園でビール…ディズニーシーでビールと同じくらい素敵じゃないかっ…!いくいく…絶対いくっ…!>

早速、高級な軽自動車に飛び乗り、高知市追手筋に到着。
行き交うたくさんの人々。

「見ろっ!人がナントカのようだ!目がぁー!目がぁー!」
ありきたりな言葉を口にしたりもした。

念願の「日曜市うどん」は、すぐさま発見できた。

だが、私はコミュ障。
私はバンビちゃん。

圧倒的人混みに圧倒され、萎縮。
さらに店のオバちゃんを目の前に、緊張。

結局うどんの注文をすることができず、食べれず仕舞いだった。

めでたし。めでたし。

…めでたくない。
(以上、実話)


ーーー数ヶ月後。
私はまた日曜市にいた。

相変わらず、人が多かった。
ウォーリーがいたとしても、たぶん見つけられないだろう。

<リベンジだ…!>
私はこの日のために麺棒で己を鍛え、鉄の心を手に入れていた。

…と言いつつも、実際には何も変わらない。

私は私のまま。
コミュ障はコミュ障のまま。

しかしこのままでは、伝説の「日曜市うどん」を永久に食べることができない。

やるしかない…!
頑張るしかないんだ…!

ここで注文できなきゃ…!
俺は一生…ただのコミュ障っ…!

店先に立つ。
牛乳をそうするみたいに、しぼり出す。
腹の底から、乳首の先から、しぼり出す。

圧倒的!ボイス…!
牧場しぼりっ……!!

やっぱ牛乳でしょ♪

「う…うどんを……」
「はい!うどんね…!」

そそくさと慣れた手つきでうどんを拵え始めるオバちゃん。
店先には持ち帰り用の麺やスープが並んでいる。

<冷しあめも…レモン水も…100円っ…!イイッ…イイなおすけ…!飲みたいっ…!飲みたいなおすけ…!!>

日曜市うどんは、立ち食いが基本。
そんな雰囲気。

だが店のわきに数席の椅子とテーブルが置かれていて、そこで食べることもできるようだった。

しかも、そのわずかな席は私に座ってくれと言わんばかりに空いていた。

俺には聞こえるんだ…!
うどん魔神の声…!

俺に…座れと言っているっ…!

誘惑に負けてレモン水まで購入し、着席、パイプ椅子。
程なくして伝説が降臨する。

『日曜市うどん』

<海原に沈む夕陽よりも…美しい…!芸術的配色…!丼の縁の曲がり具合…曲線美…肌触りもよさそうだ…!>

いわゆる、"かけ"のスタイル。
湖面に、天カスや海草などが浮かんでいる。

丸い。うどんプラネット。
世界地図みたいだ。

なで回したいほど、
いい子ちゃんな、なで肩の丸麺。

青空の下で食べる。
<うはぁっ…!お外で食べると美味しいね…!>

童心に返る。
遠足気分だ。

ランランララランランラーン。

うどんを食べていると思い出した。

もうすぐバレンタインだ。

おうどん食べたりしているけれど、もうすぐバレンタインだ。

おうどんを食べて、レモン水を流し込む。
初恋の味がした。