うどん処 ゆたか 「釜玉 & ひやし」~肥ゆる夏~

2015.08.08

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うどん処 ゆたか 「釜玉 & ひやし」~肥ゆる夏~

2015.08.08

うどん処ゆたか・冷やし・釜玉9

万々(まま)の商店街に
強烈な太陽光が降りそそいでいた。

うどん処ゆたか・冷やし・釜玉8

天気予報の予想最高気温は36℃。
アスファルトからも照り返しの熱気が昇ってくる中、
『うどん処 ゆたか』は薄い緑と白が配色された涼しげな暖簾を揺らしていた。

(高知県高知市中万々72-14、11:00~15:00売り切れ次第終了、定休日月曜[祝日の場合は翌日休]、駐車場・店舗横に有)

高知屈指の人気店だが
店内は比較的空いている。
昼どきを外した甲斐があった。

うどん処ゆたか・冷やし・釜玉7

出入口から中に向かって伸びる褐色のカウンター席。
その一番奥の空席に腰を下ろして、メニューを見る。

<前に食べた「牛つけめん」も美味しかったけど、
今日は釜玉だなっ…………!>

月が満ちて満月になるように、
年に数回、私の中に「卵の時季」がやってくる。

暑くても、熱い釜玉が食べたい。
とにかく卵が食べたい。

そう思う時季が。

卵は私を、私は卵を欲し、
王子は玉子になっていく……。

「釜玉で!」
「量は並でいいですか?」
「はい……」

昨年まで、うどん店で「並」なんて注文したことがなかった。
うどんは大盛か特盛が当たり前だと思っていた。

<並程度の量で俺の宇宙は満たせない……!
しかし…もうダメッ…!これ以上は肥えるわけには…!>

お腹が「張るか、張らないか」ではない。
お腹が「出るか、出ないか」
局面はそういう極限の次元を迎えている。

<腹八分でも出ちゃう………!
だから腹七分で我慢しなきゃなんねぇんだよ!>

二十代の頃は、いくらでも食べられた。
いまでもいくらでも食べられる。
食欲は衰えるどころか、増している。

しかし決定的に代謝が落ちた。

動いても、働いても、落ちない。
肉が落ちない。

<もっと燃費悪くなりてぇ………!>
心からの叫びだった。

うどん処ゆたか・冷やし・釜玉1

ちょうど茹であがりのタイミングだったようで、
『釜玉』はすぐに来た。

『かけ』には生姜が付いているのに、
『釜玉』になると生姜が付いてこない店がよくあるが、
ゆたかは釜玉にも生姜が載っている。

生姜農家として以前に、
一人のうどん好きとして、
…いや正直、生姜農家だから言うが、

やっぱり生姜は重要だ。

ネギは小ネギ。
ゴマも載っている。

うどん処ゆたか・冷やし・釜玉2

卵は麺の下に入っている。
この場合、急がなくていい。

時々、早くかき混ぜないと卵が固まらないからと、
箸も器もテーブルから落としそうになる勢いで
慌てふためいている人を見かけるけれど、
卵が麺の下に入っている場合
混ぜずにこの状態で置いておくほうが卵が固まる。

おそらく店側もそれを知っていて、
わざわざ卵を下に入れているのだ。

(もっとも私は生でもまったく平気。
そもそも卵を固めたいとすら思わないがね!くっ!くっ!くっ!)

うどん処ゆたか・冷やし・釜玉3

最新型の洗濯機みたいにグルグル混ぜて食べる。
モチモチの釜揚げ麺。
小麦と生姜の香りが入り混じって鼻に抜ける。

<風流ですなぁ………>
私はよくわからない感想を述べた。


うどん処ゆたか・冷やし・釜玉4

夏季限定の『ひやし』

うどん処ゆたか・冷やし・釜玉5

透明の器が素敵。
風流だ。

うどん処ゆたか・冷やし・釜玉6

冷やすと引きしまって、さらに弾力強め。
麺が口の中で、しなる!しなる!攻撃力!

ゆたかの大将のお嫁さんになったら、
この麺を1日3食、食べられるのだろうか。
最高やな、それ!なんて妄想してしまう。


<今日もしっかり腹七分……!>
食べ終えてお腹をさする。

遅めの朝食を食べてから
そんなに時間が経っていない。

明らかにまだ朝食が消化され切っていない。
結果、計算に狂いが生じた。

元々私のお腹は、ゼロの状態になっていなかった。
20~30%は埋まっていたのだ。

計算違い…………!
致命的………誤算っ………!!!

やってしまった。
明らかに腹九分五厘くらいまで入ってしまっている。

体重計が怖い……。

でも、いまさら遅い。

卵は私を、私は卵を欲し、
王子は玉子への道をまた一歩進んでしまったのだ。

↓ むしゃくしゃしていた。卵ならなんでもよかった。