本手打ち讃岐うどん さかえ 素の力

2012.04.17

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本手打ち讃岐うどん さかえ 素の力

2012.04.17

<この店さえ・・・!この店さえ無かったら・・・!
俺はうどんに人生を狂わせられることなんて無かったのに・・・!>

20代前半の頃、当時、駈け出しのうどん中毒だった私に、
うどんの美味しさを教えてくれてしまって、重度のうどん中毒にしてくれやがった店、
それが今も高知中東部の人気店として君臨する香美市土佐山田町の『さかえ』である。

前にも同じようなことを書いた気がするけれど、
『さかえ』にはうどんの麺の美味しさを教えてもらった。

醤油でもかけときゃ喰える麺は、
世界中にいろんな麺がある中でもうどんぐらいしかないんじゃないかと思うし、
究極に美味いうどんは、醤油すらも必要なくて、麺だけでもイケる。

それこそ『さかえ』で生まれて初めて『醤油うどん』を注文した際、
ふと、<このまま食べたらどんな味がするんだろう>なんて思って、
醤油を垂らさずに麺だけで何気なく食べて味わった感覚は鮮烈で・・・。

角が反り立った屈強な白い麺に残る、ほのかな塩気と小麦の香り、
染み出る旨味、アゴが痛くなるくらいの尋常じゃない次元の弾力。

<これがうどんか・・・!俺が知っているうどんとはまったく違う・・・!>

目の前にあるうどんが本当にうどんなのか、
と疑うほどの衝撃の中で生まれた言葉が、

「圧倒的っ・・・!
アルデンテ・・・!」

だった。

今でこそ、自分でも持ちネタのように使ってしまっているけれど、
この時は、真剣に、切実に、そう思った。

現在でも『さかえ』には定期的に行く。

単純に『さかえ』のうどんが食べたくて行くという部分もあるし、
『さかえ』は自分の中に"うどん"という食べ物を刻み込んだ原点で、そこに"帰る"というような感覚もある。

本手打ち 讃岐うどん さかえ

『本手打ち 讃岐うどん さかえ』

11時である開店時間に30分近く遅れてしまったのに、
駐車場に空きがあったのは幸運だった。

本手打ち讃岐うどん さかえ メニューの裏

中央にL字型に配された相席して座る形式の大きなテーブル席は、満席。
上がった座敷で、値段まで完全に暗記しているメニューを、一応見るフリをする。

本手打ち讃岐うどん さかえ メニューの裏2

店内には少し変化があって、
見慣れない店員さんや、茶髪でイケメンの若いお兄さんがいて、
そのお兄さんが麺を打っている。

<新弟子かっ・・・!>なんて思ったりはしたけれど、
さかえでは時々こういうことがあるから、わりと気にならない。

もちろん大将もいて、麺を湯掻いたり、他の作業をしたりと忙しそうだ。

初めて見る顔の・・・。
言い換えれば、見たことも無い可愛らしいお姉さんに注文する。

「釜玉の大とぉ・・・かけとぉ・・・肉っ・・・!」

一体なにが私に起こったのか、珍しく絶好調で、
非常に滑らかに発声することが出来て、無意識にガッツポーズさえ出かかったのだけれど、
注文を取り終えて厨房のほうに歩んでゆくお姉さんの後ろ姿を見ながら、重い不安感にかられた。

<しまった・・・!
俺・・・"肉"言うてもうた・・・!>

つまり、コチラは"トッピングの肉"を注文したつもりなのだが、
お姉さんは"肉うどん"と勘違いしたんじゃないか、
という疑念が一瞬にして私の心に湧き上がったわけである。

<くっ・・・大丈夫か・・・!
肉うどんが来たら・・・肉うどんが来たら・・・!
この戦局・・・!破綻するぞっ・・・!>

さかえの一杯の攻撃力は熟知している。
在り来たりな量ならまだしも、さかえの釜玉の大を食べたあとに
さかえの肉うどんを食べられるほどの余裕はさすがに無い。

足の指の骨先から、ざわざわと寒気が昇って来た。

<怖い・・・!
軽々しく"肉!"なんて言ったばっかりに・・・!
俺はひねり潰されるかもしれないっ・・・!>

答えが出るのに大して時間はかからなかった。

客が引っ切り無しに来て回転が良いせいか、
一般店とはいえ、注文してからが毎度新幹線並みに速い『さかえ』

お姉さんがテーブルの上に滑り込ませたソレは・・・。

本手打ち讃岐うどん さかえ 肉

『肉』

<肉っ・・・!肉っ・・・!
誰が見ても肉単体っ・・・セーフ・・セーフ・・・!!>

生き延びた・・・!

"肉うどん"が登場しなかったことに、
心底安堵したし、これで何の不安も無くうどんを食べられるのだと、
何気ない幸せを噛み締めながら、乗せた。

本手打ち讃岐うどん さかえ かま玉・大(肉乗せ)

『かま玉・大』
(肉乗せエディション)

いわゆる『肉釜玉』の状態と化したソレを、早速食べようとするが・・・。

本手打ち讃岐うどん さかえ 割り箸

限界密度で詰められた割り箸、なかなか取れず。

<さすがは、さかえ・・・!
こんくらい詰めとかんと足らへんでぇっ・・・!という気迫が、
割り箸の詰め方にみなぎっている・・・!・!!>

ぎゅうぎゅう詰めの割り箸を、
どれが当たりだろうと吟味したのちに懸命に引き抜いたけれど、
残念ながら、私が引き抜いた箸は当たりではなかったようで、当たりを示す赤い印は付いていなかった。

本手打ち讃岐うどん さかえ かま玉 麺アップ

そのままムシャムシャと貪り食い、
8割ほどを制圧した頃に、ようやく気付いた。

「あっ!出汁かけるの忘れてた!」

<なんだか今日は小麦の風味が強い!そして麺本来の味をすごく感じるぜ!>
とは思っていたのだが、納得。

<出汁をかけるのを忘れていたから、余計にそう思ったのか・・・!
しかしすごいな・・・釜玉用の出汁なんか無くても、普通に美味しく食べれていた・・・!>

さかえの釜玉には、出汁などいらぬ!

究極・・・!
至極の次元・・・!

桁違いの戦闘力を誇る麺は、
卵を絡めただけでも圧倒的攻撃力・・・!

出汁は、もはや飾りっ…!!

よもや、これこそが釜玉の原始系!
いつかの醤油うどん醤油抜きの衝撃が、釜玉うどん出汁抜きにて蘇ったのだ!

とまぁ、大変に興奮しながらも、
一応、念のため、出汁をかけたバージョンも確認しておこうかと、
残った麺に釜玉用出汁を回し掛けて食す。

その時、
思わず、こぼれた、
感動の言葉・・・。

「やっぱり出汁かけたほうが、美味しい!」

出汁は飾りなんかじゃなかった・・・!

本手打ち讃岐うどん さかえ かけ

『かけ』

なにはともあれ、お腹も張ってめでたしめでたし。

いろんなうどんを食べ歩いていても、
また帰って来たくなるうどん屋、それが『さかえ』であり、
言うなれば、『さかえ』は私にとって、家だ。

帰って来ても、「おかえり」じゃなくて「いらっしゃいませ」言うけれど・・・。

本手打ち 讃岐うどん さかえ

◆ 本手打ち讃岐うどん さかえ
(高知県香美市土佐山田町)
営業時間/11時~麺切れまで(閉まる目安は14時ぐらい)
定休日/月曜日、木曜日
営業形態/一般店
駐車場/有(店舗前と、向かって左隣の空き地もOK)

(かま玉380円、かけ330円、しょうゆ330円、ぶっかけ380円、かまあげ380円、
【トッピング】→ちくわ天100円、えび天150円、肉200円、生卵50円、大は100円増)
うどんメニューは上記5種類のみ。ですが、トッピングを組み合わせることでいろいろ出来ます。
『本手打ち讃岐うどんさかえ』の場所はココ!

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