いっぱい呑んで(たぶん?)いっぱい働きます

投稿日:2013.08.01 更新日:

「来月から、またガソリンが上がるつが・・・!」
オビ=ワンは瞳孔を最大に開きながら言った。「今日の新聞に載っちょったが、7円も上がるつが・・・!」

特ダネを掴んだ芸能レポーターのように、オビ=ワンは目を輝かせている。
なんとか私も気を利かせて、できるだけ驚いた反応をしてあげたかったが、実は・・・そのことを何日も前から知っていたので、思わず素っ気なく返事してしまう。

「ふーん・・・」
根が世界屈指の素直な性格なので、取り繕うということができないのだ。

「1リッター160円超えるつが・・・!」
オビ=ワンはさらに瞳孔を開いて憤慨する。「ころぉーど(これほど)上がってたまるかのぉー」

ガソリンの価格が上がるというのは、農家にとっても死活問題だ。
現在行っている生姜への水やりも、山の湧き水を手作りの水槽に溜めて、その水を畑に敷いたチューブにエンジンポンプで送るという形なので、つまりガソリンがないとエンジンポンプが動かず、水がかけられない。
まさか数万株の生姜に、毎日ジョウロで水をかけるわけにもいかない。

さらには、あちらこちらに点在する畑と畑を移動するのに使う軽トラの燃料も、ガソリンである。

「けんどガソリンが上がったち、車に乗ることは、やめれんでよー」
私はヒッヒッと笑う。「車に乗らにゃ田舎じゃ生活できんし、百姓もできんもの」

そのときだ。
オビ=ワンが戯言を言った。

「こうなったら、もう竜一も呑むことをやめないかんぞ」
酒代をガソリン代に回せ、という意味だろうか。

「・・・!」
私は沈黙の要塞みたいに沈黙した。

いったいオビ=ワンは何を言っているのだろう。

<禁酒・・・?断酒・・・?酒を断つってこと・・・?酒を飲むことは数少ない俺の人生の楽しみのひとつ・・・!山で酒も飲まずに農業をする・・・?そんな拷問・・・!どこの仙人だよッッッ・・・!

私には無理だと判断した。
そして私はブーメランを避ける。
ブーメランはオビ=ワン目掛けて返っていく。

「オジイがしいや・・・!」
アナタにも禁酒は無理でしょう、とクスクス笑いたいのを抑えながら言う。「オラ!呑む!」

「・・・!」
今度はオビ=ワンが沈黙の要塞になる番だった。


(ライスランド脇の溝をクワで掃除した。ズボン泥だらけ・・・)

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竜一

1982年生まれ。高知で生姜農家をしています。うどんをかぶって寝たいほどうどんが好き。ラーメンとカフェも好き。農業家/ブロガー/農業界のうどん野郎/農業は生姜一本で稼いでます。

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