灼熱の地下足袋

投稿日:2013.08.30 更新日:

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7月だったか、8月だったか・・・。
雨もロクに降らず、最高気温は連日35℃前後を連発していた、とにかく圧倒的に暑い時期だった。

その日も朝から暑く、オバ=アは何やら険しい表情で、庭を西へ東へと徘徊していた。
オバ=アが、いったい何をしているのか何がしたいのか、まったくわからないけれど、こんなことはよくあることなので私は大して気にも留めない。

私は卵が丸ごと1個入った、よくあるパターンのオバ=ア汁を飲み干すと、軽トラに乗り込んでオビ=ワンと2人でジンジャーランドへ向かった。

ジンジャーランドに着くと、さっきのオバ=ア汁に入っていた卵みたいに丸い太陽がギラギラと照り付けて、私のやる気を削いでくれる。
オビ=ワンもゲンナリした表情を浮かべている。

<あぁ・・・それにしてもビールが飲みたいっ・・・!>
と私は思った。冗談じゃない。かなり本気だ。

仕事中にビールを飲んでも、べつに問題なかったりするのが農家の特権だが、我慢する。
この暑さの中で一口飲んだら最後、自分の中の"ダム"が決壊しそうだからだ。

ジンジャーランドの脇で私とオビ=ワンは、靴をサンダルからジンジャーランド専用の地下足袋に履き替える。
生姜は病気に弱いので、病原菌を外から持ち込まないようにするためだ。

セミがミンミンジージー鳴いている。
過去最高気温の夏。セミも暑いのか、例年よりも鳴き声に必死臭が漂っている。

それからジンジャーランド内の畝(うね)と水平に、網(ネット)を張る。
これは生姜の茎が、風によって折れてしまわないようにするためである。

昼まで2人でその作業をして、またサンダルに履き替えて家へ帰る。
オバ=アは相変わらず険しい表情で、昼食を作って待ち構えていた。

炊飯器から茶碗にご飯を注ぎ、飯台の前に着席してモグモグ食べる。
"話したいこと"を昼まで溜めていたオバ=アがほぼ一方的に、やいの!やいの!と喋り倒す。
オビ=ワンと私はひたすらモグモグ食べる。

食後――――――。
居間でゴロゴロ寝転がって、昼休み。

ゴロゴロ・・・。
ゴロゴロ・・・。

暑さが少し和らいだ気がする時間帯に、再始動。
オビ=ワンと一緒に軽トラに乗り込んで、もう一度ジンジャーランドへ向かう。

到着すると、ジンジャーランドの脇に一組の地下足袋が置かれているのが見えた。

「ありゃ!オラぁここへ置いたまんまやったかねゃ・・・」
そう言ってオビ=ワンは怪訝な表情を浮かべる。

地下足袋は、ずっとここで業火のごとき太陽光線を浴び続けていたのだ。
オビ=ワンは地下足袋を触って苦笑する。

「こりゃぁー!ぬくもっちゅうー!」
(熱くなっている、の意)

「クククッ・・・!」
と私は笑う。「そ・・・そりゃー!体の芯から温まりそうやね・・・!」

オビ=ワンは灼熱の地下足袋を履きながら言う。
「こればぁ、ぬくいがを履いたら、内臓にえいやらしれん!」

「あぁ・・・(たしかに)」
私は妙に納得した。「ぬくめちょって、却ってよかったかもしれんね・・・」

「はは・・・」
オビ=ワンはゲンナリした表情を浮かべて苦笑した。

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竜一

1982年生まれ。高知で生姜農家をしています。うどんをかぶって寝たいほどうどんが好き。ラーメンとカフェも好き。農業家/ブロガー/農業界のうどん野郎/農業は生姜一本で稼いでます。

-生姜栽培

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