丸亀製麺 高知高須店

2014.02.06

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丸亀製麺 高知高須店

2014.02.06

いきなり発作が起きた。
お手手がプルプルする。

うどん禁断症状だ。

しかし時刻は15時を回っていた。
高知のうどん屋は、大抵14時あるいは15時ぐらいまでしか営業していない。

いまからうどんを食べようにも、営業している店は少なく、選択肢は限られている。

<気が付けば町外れ…郊外で路頭に迷っていた…!俺はいったい何処に行けばいいんだ…!>

いったいどういうわけだろう。
具体的にいうと、高知市介良の辺りにいた。

<この辺りで15時をすぎても営業していて…尚且つ…晩ごはんに影響が出ないような…軽いうどんを提供してくれる店…!>

俺の頭の中には…!
高知麺本が入っているっ…!!

昨日食べた晩ごはんは忘れても、2年前に食べた麺のことは忘れない。
人の名前は忘れても、麺屋の名前は忘れない。

もっと言えば、自分の家は忘れても、麺屋のことは忘れないし、むしろ…。

自分の家を忘れたら…!
うどん屋に帰るっ……!!

ぶっちゃけ…!
うどん屋に住みたい…!!

脳内検索したあとGoogleでも検索すると、高名な亀さんちに、なにやら珍しいうどんがあるようだった。

<なんだっ!これはっ!すごいぜ…!俺こんなうどん食べたことないぜ…!ロックだぜ…!>

興奮と錯乱で、若干、矢沢口調になりながら、高級な軽自動車のアクセルを贅沢に踏み込んだ。

『丸亀製麺 高知高須店』

<南金田の"高知店"には何度か行ったけど…高須店は初めて…!初めてだけど…優しくしてくれるかなっ…!>

丸亀製麺のうどんを食べること自体、2年ぶりとか3年ぶりとか、とにかく久しぶりだった。

緊張しながら入店する。

丸亀製麺は、セルフ方式のうどん屋だ。
数年ぶりだが、そんなことは覚えている。

当然だ。昨日の晩ごはんの内容は忘れても、麺屋のことは忘れない俺なのだから。

入口をくぐるとセルフレーンが伸びていた。
レーンの一番手前のところに、ドンブリがたくさん積まれている。

いったいどういうわけだろう。
無意識の内に、私は積まれたドンブリに手を伸ばそうとした。

瞬間、気付く。

<あぁっ…なにをやっているんだ…俺は…!ドンブリは取らなくていいっ…!むしろ取っちゃダメなんだった…!>

なんだか自分の家でうどんを作っている気になっていた。

うどん屋に住みたい、と私はたしかに口走ったが、勝手に住んでいる気になっていた。

男性店員さんに注文すると、麺がどうたらでアレするから、2分ほど待ってくれと言う。

渡された番号札と一緒に、農民らしく可愛く体育座りして席で待つ。

<このあと…初めて逢う…おうどんさんがやってくるんだっ…!>

ドキドキする。
緊張を紛らわすために、スマホを触る。髪を触る。乳首を触る。

<落ち着いたかい…?>
と自分に訊く。<ええ…だいぶ…>

直後に黄色いの、現る。

冬季限定…!
『のり玉あんかけ(大)』

全力玉子。
黄色い湖面の上に、黒いものが浮かぶ。
生海苔だ。脇には乾燥海苔が、ソッと添えられている。

セルフで取り放題のネギと生姜。
たくさん載せた。

ネギで島を作り…!
その島に生姜を上陸させる…!

こうすることで、生姜を入れる前…入れたあと、ビフォーアフターみたいなことをして、味の変化を楽しむことができる。皿などを使わずともだ。

大体この黄色い中に生姜を投入すると「生姜、どこ行った?」と大捜索の必要が出てくる。その可能性は極めて高い。

あんかけ、あったけぇ…!

さすが、あんかけだ。
生姜の作用も合間って…生姜農家だから言うが、

生姜の作用も合間って、
体が芯から温まる。

<外は寒いが…俺の体の中は真夏…常夏…ドーナツだっ…!燃えている…夏の花火のように…ドカーンと燃えて打ち上がっているっ…!!!>

麺を食べきった。
『のり玉あんかけ』は「もうぶっちゃけボクなんか玉子スープですよ!」みたいな顔をしている。

<フフッ…可愛いやつめ…!うどんを食べれて…玉子スープも飲めるなんて…一挙両得じゃないか…!>

あんかけに玉子…あんたまで、あんたまった…温まった、初・丸亀製麺高須店だった。