水の魔法使い

投稿日:2014.06.17 更新日:

生姜畑に水が来ていないと気付いたのは、どうすれば俺もAKB48に入れるだろうと考えながら、畑の見回りをしていたときだった。

<ありゃっ…!また水がきやぁせん…!>
と私は土佐弁で思った。

山の中から生姜畑の脇まで、塩ビパイプで引いた水は完全に止まっているわけではないが、いつものような勢いを失っていた。

<水を回して来ないといけない……>
生姜にはまだ水をかけていないが、生姜畑の下にある田んぼに水が必要だ。

かくして私は山に分け入り、水源を目指した。
(* このあいだのとは違う水源です)

うっそうと木々が生い茂る森を歩く。
<イノシシとか…マムシとか…いないといいけど…>

外界と同じ時間が流れているとは思えないほど、昼間でも薄暗い。

信じられない話だが、この場所は昔、田んぼだったそうだ。

それを彷彿させるように、高い石垣もある。
<森の中に石垣…という違和感……>

田んぼ遺跡。

道無き道を抜け、水源に達す。
手作りの枡が設置してあって、その中に塩ビパイプを差してある。

ゴミ除けの金網に多少の落ち葉が引っかかっていたが、水量が減った原因はおそらくこれではない。

<パイプの中に空気が入ったな……>
早速、空気を抜きにかかる。

<うんばらばー!うんばらばー!>
片手をパイプに押し当て、手の平に神経を集中させ、呪文を唱えた。<うんばらばー!うんばらばー!>

意外と、世の中の大抵のことは呪文で解決できるのだ。

そう。
僕たちは魔法使い。

呪文を唱えるいる最中を誰かに見られると、さすがに恥ずかしい。

でも大丈夫。
こんなところに誰も来ない。

呪文、唱え放題だ。

それよりも、ここで沢に転落して意識不明になることのほうが恐い。

しばらく誰にも発見されないだろうからだ。

発見されたときには、白骨化している。
その可能性もある。(恐)


(渾身のキメ顔が炸裂する……!笑)

数十分かけてエア抜き完了。
またイノシシとマムシに注意しながら山を降りる。

水量は回復した。
やはり呪文の効果は絶大だ。

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竜一

1982年生まれ。高知で生姜農家をしています。うどんをかぶって寝たいほどうどんが好き。ラーメンとカフェも好き。農業家/ブロガー/農業界のうどん野郎/農業は生姜一本で稼いでます。

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