何のための生姜栽培

投稿日:2014.08.27 更新日:

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昼ご飯に、親子丼をお椀に三杯。
このときはまだ大丈夫だった。

まだまだ暑いので、午後二時頃まで休憩する。
その間に文庫本を数ページ読んだ。まだ大丈夫。

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作業着に着替えて、生姜畑でしばらく汗を流す。
暑い。濡れたシャツが背中に張り付いていた。

ポケットからスマホを取り出し、時刻を確認した。午後三時すぎ。
まだまだやな、と思った。

汗でシャツが濡れると、身体の熱が外に放出されづらくなって、余計に暑い。

体力の消耗が激しくなり、段々イヤになってくる。
「あぁ、もう面倒臭ぇ」早くも面倒臭くなり始めていた。

それは「面倒臭い」「わからん」「知らん」
私がよく吐く言葉ベストスリーの一角だった。

時刻を確認すると、三時半。
<まだ三十分しか経ってないのかよ>溜息が出た。

<いかん、いかん。こんなことじゃダメだ。やることはやらなきゃ>
気合いを入れ直して仕事に励む。

しかし、暑さと疲れで集中力がすぐ切れる。
時刻を確認した。三時四十五分。

<たった十五分しか経ってねぇ>
また溜息が出た。そして意識が遠くなった。<面倒臭い…>

なんとか再度気合いを入れ直し、頑張って働く。
だがもうイヤになってきた。時刻を確認する。

三時五十五分だ。
なんと十分しか経っていない。

<面倒臭い……>
段々、面倒臭いの使い方もおかしくなって、「面倒臭い祭り」と化してきた。

そして、ついに言ってしまう。

「あぁ、帰って晩酌したいっ…!」

晩酌と言っても、まだようやく夕方と呼べる時間帯になった頃だ。そんなことはわかっている。ただ酒が飲みたい。

数千株の生姜たちが、数万本の緑色した茎を揺らす、その畑の中で私は唸るように呟いた。

「ビールっ…!ビールっ……!」


部屋に入ると、風呂上りで濡れた髪を拭きながら真っ先にパソコンの電源を入れた。起動するまでのあいだに冷凍庫を開け、グラスに氷を入れる。それからパソコンの前に座り、グラスに焼酎を注ぐ。

この間、一分前後。

メールをチェックしたりしつつ、焼酎をロックで煽る。
畑では「ビール!ビール!」と言っていたが、家でビールを飲むことはほとんどない。炎天下と室内とでは飲みたい酒がまた変わる。

「今日も面倒かった…」
疲れた身体の隅々に焼酎が染み渡る。私は大きく息を吐いた。畑でついた溜息とはまた違った種類のものだった。

「明日も面倒くせぇなぁ…」
やさぐれたお爺ちゃんみたいに呟いた。晩酌は面倒臭くない。

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竜一

1982年生まれ。高知で生姜農家をしています。うどんをかぶって寝たいほどうどんが好き。ラーメンとカフェも好き。農業家/ブロガー/農業界のうどん野郎/農業は生姜一本で稼いでます。

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