後ろから刺された

投稿日:2014.09.03 更新日:

スターターの紐を引くと、ポチは「ブルルッ」と低い鳴き声を響かせた。
「今日も元気だね、ポチ」と私は天使にしか見えない微笑を浮かべた。

「ポチ」というのは、耕運機の名前だ。

「高速」を意味するウサギさんマークの位置にギヤを入れて、生姜畑の脇にある菜園を目指す。乗用のトラクターは通れない狭い道。二十メートルほどある斜面から、ポチを転落させないように注意して通る。

菜園に着くと、油粕を撒き、ポチを使って耕した。
さらに魚粉が入った肥料を撒き、もう一度ポチで耕す。

それから一畝作る。管理機を持ってくるほどではないので、鍬を使って自力で溝を掘り、畝を形成した。

ここには後日、ダイコンとカブを植える予定だ。

二時間ほどで作業終了。ポチを引いて…いや、ポチに引かれて山を降りた。


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昼ご飯を食べてから、生姜畑に行った。
そしてまたいつものように、溝に溜まった土を鍬でひたすら畝に上げた。

もう何日この作業をしているのか自分でもわからないが、生姜畑と言っても数箇所に点在していて、合計面積はアメリカ合衆国と同じくらいになるので仕方がない。

それに相変わらず雨が頻繁に降るせいで、土がなかなか乾かなくて作業可能な日が少ない。

排水が悪くなっているところに雨が降る排水が悪いから乾かない排水を良くしようにも乾かないから作業できないまた雨が降る。まさに悪循環。

「限界への挑戦」などと、わけのわからないことを言いながら鍬を使っていたら、段々右腕に力が入らなくなってきた。

左手に持った鍬を支えにして、立ったまま休む。
十ラウンド目終了時の竹原慎二みたいな表情を浮かべてボケーッと休んでいると、ケツに痛みが走った。左側のケツだ。

「イテッ!」
振り向くと、ケツにアブが止まっていた。どうやらこのアブは私のケツに己の針を突き刺したようだ。生きて帰すわけにはいかない。

私は自分のケツに止まったアブを、思いっきり引っ叩いた。

瞬間、アブ、飛び立った。

左側のケツに左手が、「バチーン!」とクリーンヒットした。悲しい。

<今年はアブが多い気がする。雨が多いからかな…?>
アブは水が綺麗なところにいるものだ。みたいな話を聞いたことがあるからそう思ったけれど、真相はわからない。でもたしかに今年はアブが多い。

その晩、帰って風呂に入ったときに確認すると、ケツの一部が十円玉ほどの大きさに腫れ上がっていた。

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竜一

1982年生まれ。高知で生姜農家をしています。うどんをかぶって寝たいほどうどんが好き。ラーメンとカフェも好き。農業家/ブロガー/農業界のうどん野郎/農業は生姜一本で稼いでます。

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