コミュ力の向こう側へ

投稿日:2014.09.11 更新日:

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またしても草刈り機を使っていた。山の農家。草刈り機を使わないのは草が伸びない真冬だけだ。

レバーを倒してエンジンを噴かす。栗の木の下に茂った草を刈る。やがて木から落ちる栗を拾うために必要な作業だった。

草刈り機は、のどかな山間に軽快なエンジン音を響かせる。
「今日も元気だね」と私は言った。草刈り機に。

こんなことを他人に言うと、頭がおかしいと思われるだろうが、本当に草刈り機ぐらいしか話し相手がいないのだから仕方がない。

さらにレバーを倒してエンジンを噴かす。

「この回転!このフォルム!このエキゾーストノート!」
草刈り機を通して腕に振動が伝わる。段々興奮してきた。「刈るぞ!うらー!」

刃にパイプが付いていて、根元にエンジンが付いているだけ。「機能美」というしかない美しさ。見ていると撫で回したくなる。草刈り機は最高だ。

一時間ちょっと草を刈った。草刈り機のタンクに入った燃料を使いきった。
「お疲れ様」と私は草刈り機に言ってエンジンを止めた。

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家に帰って草刈り機を片付けてから、田んぼの状態を確認した。
「いっぱい生えてるね」と私は稲に言った。「ざわざわ」と稲は答えてくれた。

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午後からは生姜畑で他人には言えない作業をしていた。
「風がだいぶ涼しくなってきたね」私は生姜に言った。

「そうやねぇ」と生姜が返事した。
「おやおや土佐弁かい?」私はあえて標準語で訊いた。
「高知生まれの高知育ちやきねぇ」生姜は緑色の葉を揺らしてはにかんだ。
「すっかり高知の色に染まったんだね」
「そうよ。アナタの色に染められたのよ」

「一度の人生それさえ…か」
「だからお願い、そばに置いてね」
「いや、最終的には出荷するよ」

自作・豚汁1

豆腐にゆっくり包丁を入れる。「今日はいっぱい喋ったなぁ」
出汁をとったお湯に入れ、一煮立ちさせて味噌を溶く。ささがきにしたゴボウもたくさん入れた。今晩は豚汁だ。

スプーンですくって味見する。
美味しい。

「美味しいよ」と私は豚に言った。豚は褐色の汁の中で揉みくちゃになっている。その豚が喋った。

「そりゃ良かったブー」

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竜一

1982年生まれ。高知で生姜農家をしています。うどんをかぶって寝たいほどうどんが好き。ラーメンとカフェも好き。農業家/ブロガー/農業界のうどん野郎/農業は生姜一本で稼いでます。

-生姜栽培

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