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【子供】「風呂」に毎日入れるのが、父の公約である。

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「早くお風呂に入って!」と妻に急かされる。私はまだ晩酌をしながらパソコンで画像の編集をしている。

モニターには、大阪で食べたお好み焼きの画像が映っている。

「いい加減にして!」と叱られる。妻は明らかに本気で怒っている。

小さい女の子が、キーボードを叩く私の腕を後ろからつかんでくる。

「パパ、おふろいこう」

「娘に言われてるじゃない!」妻の言葉に振り返る。

「ホントだな……」苦笑しながら土佐弁で言う。「お風呂行くかね?」

娘は元気よく返事した。「いく!」

私はイスから立ち上がると娘の頭を撫でた。「きょうは"ぜんろうさい"持っていくかね?」

しっかりと私の目を見ながら「"ぜんろうさい"持っていく!と言う娘。

「ぜんろうさい」とは、全国的に有名な「全労済」のことで、わけあって全労済からもらった薄手のタオルを我が家では「ぜんろうさい」と呼んでいるのだ。

……本当はそう呼ばすつもりはなかったのだが、娘が勝手に呼び始めた。

娘は"ぜんろうさい"を持って、浴室へ走って行く。

「パパ晩酌のしすぎで、酔うたわ」と土佐弁で言いながら付いていく、私。

ダメすぎる父である。

最近になって自分で服を脱ぐこともでき始め、オムツまで脱ぐから、父が手伝うことはあまりない。

浴室へ

風呂の戸を開けて、中に入る。

「よし!ざばぁーんしよ!」私は湯船にたまったお湯を洗面器にすくって、娘の体にかけようとする。

その洗面器を娘は両手で押し返しながら、全力で拒否する。

「いや!じぶんに!」
自分で洗うから余計なことはするな、そういう意味だ。

「じゃあパパ、先にお風呂に入るよ?」私は先に湯船に浸かる。

納得するまで、湯船からお湯をすくい自分の体にかける、それを繰り返す娘。

「もう、いいかなぁ?」娘に聞くと、「うん!」と両手を伸ばしてくる。

抱っこして湯船に入れる。

風呂に置いている、おもちゃで一緒に遊んで身体が温まった頃に声をかける。

「そろそろ洗うかね?」

娘はこちらを見るが、反応が鈍い。

「洗う?」もう一度聞く。

ここで「うん!」と言う日もあるのだが、きょうは「うん!」と言ってくれない。

まだ湯船の中で遊びたいのかもしれない。けれども大人はある程度、夜の部のスケジュールを立てている。

私は本音ではそんなものは、どうだってかまわないと思っている。しかしスケジュールが大きく崩れたときの妻の怒りが恐ろしい……。

「よぉーし!体を洗うよぉー!」

NHK「おかあさんといっしょ」の、元・うたのおにいさんで個人的にも大好きな、横山だいすけさんをイメージして明るくそう言った。

「まだぁっ!まだするーっ!」

ラチがあかない……。

嫌がる娘の体を両手で持ち上げて、強引に湯船から出す。

続いて私も出る。

私に似たのか、皮膚が弱い娘。いつものように幼児用のボディソープをつけて、入念に洗おうとすると「いやぁっ!」と大きな声を上げる。

「どうして?」そう言う私の目を、娘は真っ直ぐに見つめて言う。

「じぶんに!」

「じゃあ自分にどうぞ!」私は苦笑しながら湯船に戻った。

湯船の外では、娘が手に取った幼児用ボディーソープを真剣なまなざしで体にこすりつけている。

それを見ながら湯に浸かる私は、妻と交わした公約を思い出していた。

「この子が生まれたら、お風呂はあなたが入れてくれる?」

「うん、いいよ」

2018年2月現在で2歳である娘は、そのときまだお腹の中にいた。

朝、晩、どちらかの料理は私がする、と言ったかもしれないし、ほかにも公約はもう一つか二つあった気がする。

正直あまり覚えていなくて……いま実際に守れている公約は「娘と一緒にお風呂に入れる」これだけだ。それすらも、日によってはできていない……。

私は娘の体を両手でこすった。泡立っていない幼児用ボディーソープを泡立てるためだ。

ある程度は泡立ったが、それでもまだ泡立ちは十分ではない。

"ぜんろうさい"に幼児用ボディーソープを取って泡立てる。

泡立てながら思う。
「この"お世話"も次第に必要なくなるのだろうな……」

たった2年のあいだだけれど、ずいぶん成長したなぁ……。

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竜一

1982年生まれ。高知で農業経営しています。食べ歩きが好きで飲食店が好き。飲食にたずさわる人が好き。農業と高知のグルメ情報をまとめたサイト「生姜農家の野望Online」を運営。農業や生姜などの野菜のこと、大好きな飲食店を知ってほしくて書いています。[お問い合わせコチラ]

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