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【生姜の神様】エピソード1/毒舌婆さん

2019.07.09

生姜畑

生姜畑の溝に座り込んで雑草を取っていると、遠くの方から誰かの声がした。

オビ=ワンはゆっくりと体勢を起こした。70歳を回った頃から腰が痛い。昔は体が丈夫なことが取り柄だったのにと思うと歯がゆい。

立ち上がって声のする方を向くと、オバ=アが畑の縁に立っていた。結婚して半世紀になる女房だ。

「おじ……さ……!……きから……呼び……に聞こえんかね!」

オバ=アがいつものように強い口調で、自分に何かを言っているようだが聞こえない。70歳を回った頃から耳も遠くなった。

側で同じように草を取っていた孫に声をかける。

「竜一、オバアは何言いゆう。ひとつも聞こえんが」

生姜の葉のあいだから、麦わら帽子をかぶった、孫の竜一が顔を出す。

「知らんけど、なんか呼びゆう」

"おじいさん!さっきから何回も呼びゆうに聞こえんかね!"そう呼んでいるのだがオビ=ワンには聞こえない。

畑の縁で、オバ=アが地団駄を踏んでいる。

「おじ…さ…!……きから……呼び……に聞こ……かね!」

やはり聞こえない。

「…じい……!さっき……ゆうに聞こ……えん……!」

何度呼んでも返事しないオビ=ワンに、オバ=アは業を煮やした。

「バーカ言うても聞こえんろうか?」

今度は聞こえた。なぜかはわからないけれどハッキリと聞こえた。聞こえたけれど返事をする気になれない。

「聞こえん?ほいたら言うちゃろか」オバ=アはケタケタと笑った。

オビ=ワンにバーカと言うオバ=ア

「おじいさんのバーカ!」

「何を言いよらぁ!」オビ=ワンは苦虫を噛み潰した。

「バーカ!バーカ!」オバ=アはこちらを指さして爆笑している。「悪口に限って聞こえるものよ。アヒャヒャヒャ」

閉口するオビ=ワンに、オバ=アは微笑んだ。
「晩ごはんにおナス食べるかね?食べるやったら菜園で採って行っちゃるが?」

「おう……」
どうしてナスの話などしているのだろうと考えていると、オバ=アが言った。

「おじいさん、きのう"おナスを煮いたのが食べたい"言いよったろうがね」

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電子レンジで日本酒を燗するオビ=ワン
【生姜の神様】エピソード2/ナスの煮浸し

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日本一の生姜の産地・高知県で生姜農家を経営している竜一と申します。「生姜で美しく」をテーマに、生姜の専門家が生姜のすべてを語るサイト「最強のジンジャーバイブル」を運営しています。

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