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【生姜の神様】エピソード4/農機屋のヤスちゃん

投稿日:2019.07.12 更新日:

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入れ歯を入れ忘れたオビ=ワンと笑うオバ=ア
【生姜の神様】エピソード3/白いごはんと味噌汁

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日が射す生姜畑

セミが必死に鳴いている。
ヤスヒコは生姜畑の脇に軽トラを止めると窓を開けた。

「おーい、オビさん。トラクターの爪を持てきたもってきたが」

生姜畑で作業していたオビ=ワンが、生姜の葉のあいだから、ひょっこりと顔を出して笑う。

「おお、ヤスちゃん、持ってきてくれたかのお」

ヤスヒコはトラクターの爪が入った小さな段ボール箱を掲げた。

「えら仕事が早いが」とオビ=ワンが笑う。

「そらぁ、いる言うたら暫時ざんじ持ってくらぁよ」ヤスヒコはおどけて見せた。

オビ=ワンもおどけて言う。
「ぐっすり儲けゆろ」

「儲けるかよ、みんなぁ歳がいていって、機械を買うてこうて(かって)くれんもの」

「そうよのお、田舎の農家は年寄りばっかりじゃきに」オビ=ワンは苦笑しながら額の汗を拭った。「周りのもんもおおかた70を回っちゅうもの。歳がいたらいくと機械もいらんわ」

「そんなこと言いよったらいかんぜよ。えい機械を買うてゴンゴン百姓してくれなあ」ヤスヒコは冗談めかして言った。

しかし切実なところでもある。

大手メーカーの農機取扱店として、販売や修理などで忙しかった毎日は遠い昔のこと。近年は取り引きしていた農家の高齢化の影響を受けて、売り上げはさっぱりだ。

農機屋のヤスちゃん(ヤスヒコ)とオビ=ワン

「串」に見えますが生姜の葉のつもりです……。

「トラクターの爪、軽トラの荷台へ乗せちょくぜよ」

「おお、すまんのお」オビ=ワンは目尻にシワを作って微笑んだ。「お代はまた今度でえいかねゃ」

「えいえい。また雨の日にでも取りにくるき、かまえちょってよ」雨の日は農作業できないオビ=ワンが自宅にいると知っている。

ヤスヒコは右手を上げて、自分の軽トラの運転席に乗り込んだ。その瞬間、忘れていたことを思い出した。

慌てて、軽トラの窓から顔を出す。
「オビさん、またキュウリが余ったら回してや」

オビ=ワンも思い出したように、ハッとした表情を浮かべた。
「このあいだのキュウリ食べたか」

「塩して七味かけて食べたらうまかったで。女房もうまい言うてナンボでも食べよったわ」

「そうかよ」オビ=ワンは嬉しそうに微笑んだ。「また菜園に生りゆうき、また回す」

ヤスヒコは窓から右手を上げて、軽トラを発進させた。

生姜畑に茂る葉の中に消えていくオビ=ワンの後ろ姿が、バックミラーに写っていた。

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阿呆言いな、というオバ=ア
【生姜の神様】エピソード5/業火の地下足袋

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日本一の生姜の産地・高知県で生姜農家を経営している竜一と申します。「生姜で美しく」をテーマに、生姜の専門家が生姜のすべてを語るサイト「最強のジンジャーバイブル」を運営しています。

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