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【生姜の神様】エピソード5/業火の地下足袋

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農機屋のヤスちゃん(ヤスヒコ)とオビ=ワン
【生姜の神様】エピソード4/農機屋のヤスちゃん

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生姜畑で草取りをしていると「ウウウー」とサイレンが鳴り響いた。

山あいの集落に正午を告げるサイレンだ。

オビ=ワンは空を見上げた。
「はや昼になったか……」

昔はうるさいほど聞こえていたサイレンだが、最近は耳が遠くなって聞き逃すことが多い。

「きょうは珍しく、聞こえたよ」

生姜畑専用の地下足袋を脱いで、靴を履き替える。

「昼飯食べてからまた来るき、地下足袋は日陰へ置いちょこうか」

オビ=ワンは地下足袋を生姜畑の脇に置いた。

力王の地下足袋

軽トラに乗って家に帰り、昼食はいつもの"オバ=ア飯"。

暑い中での農作業に疲れ、少し放心してしまいながら食べていると、"話したいこと"を半日分溜めていたオバ=アが一方的に喋り倒してくる。

「おじいさん!近所のサトコさんが散歩しよってよ、アタシに旦那がどうじゃら言うて行くわね。なんじゃかんじゃ言うて。ほんでアタシはどこの亭主もおんなじようなもんよね、言うちゃったけんど、あのひたぁ人は聞かん。ああじゃこうじゃ言うばぁ言うて、サッサァ歩いて行た。それからよ、家の前の道にスギがドッサリ落ちちゅうが。それやけんどよ……」

その話をさえぎるように、オビ=ワンは口を開いた。

「おおの、オバアはちっと少し黙っちょけ。メシを食いゆうあいだ中、"やいのやいの"喋られたらたまらんが」

オバ=アは眉間にシワを寄せた。
「大事な話やき言いゆうが!」

ひとっちゃあ全然大事な話に聞こえんが」

「何を言いゆう、おじいさんは!これほど大事な話がほかにあるかね」

「近所のおばさんが散歩しよったじゃ、道にスギの枝が落ちちょったじゃ、どうでもえいこと言うなや」

「どうでもえいことがあるかね!近所のサトコさんは散歩するたんびに、わざわざアタシに話しかけてきて旦那のグチを言うて行くし、道にスギの枝がドッサリ落ちちょったら、おじいさんに拾うてもらわないかんろうがね」

「スギの枝ばぁ自分で拾えや」

「何本落ちちゅうと思いゆう!1本や2本やないぞね」

どればぁどれくらい落ちちょらぁや」

「どればぁち……」オバ=アの目が泳いだ。「に、200本ばぁ落ちちょらぁね」

オビ=ワンは白メシを頬張りながら笑った。
「数えたかや?」

阿呆言いな、というオバ=ア

阿呆言いな。

「数えるかね。そらもう数えよったら日が暮れて、朝になるばぁスギの枝がようけたくさん落ちちゅうき」

「まあ、このあいだの台風は風がえらかった強かったきのぉ」

「スギの枝を拾うてみようかとアタシもしよったけんど、まちょくにあわん間に合わないわ」とオバ=アは嘆く。「それやき、おじいさん片付けちょってよ」

「おおの、用事ばっかり言うてくれるなや」

けんどでも、おじいさんにやってもらわな、アタシじゃできんもの」

「おおの、オバアが用事を言いつけてくれるきたまらん」オビ=ワンは苦笑した。

オバ=アは、目を合わせずに笑うオビ=ワンの視線の先に回り込み、無理矢理目を合わすようにして言う。

「おじいさん!おおの、おおの、言うて、偉そうにほくそ笑んだちいかんぞね!」

ウチの名字は"大野さん"やないき!

……オビ=ワンは口ごたえすると怒られそうだと思い、黙って味噌汁をすすった。

離れのベッドで寝転がるオビ=ワン

食後は離れのベッドで、テレビを子守唄に一眠り。

暑さがやわらいだ頃、オビ=ワンはもう一度、軽トラに乗って生姜畑に向かった。

畑に着いてハッとした。

生姜畑の脇の日陰に置いていたはずの地下足袋に、真夏の直射日光が照りつけているのだ。

「ありゃ、オラはここへ地下足袋を置いたまんまやったかねぁ」置いたこと自体を少し忘れていた。「陰へ置いた思いよったが、が動いたか」

数時間にわたり、業火のごとき太陽光線を浴び続けていた地下足袋に触れて、オビ=ワンは苦笑した。

おおの大野(笑)


こじゃんととてもぬくもっちゅう熱くなっている

でも……と思う。
「足元からぬくもって、体にえいやらしれん」

(阿呆言いな)
オバ=アの声が聞こえてきそうだった。

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ちくと休もう と言うオバ=ア
【生姜の神様】エピソード6/ふたつのお茶

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日本一の生姜の産地・高知県で生姜農家を経営している竜一と申します。「生姜で美しく」をテーマに、生姜の専門家が生姜のすべてを語るサイト「最強のジンジャーバイブル」を運営しています。

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