-
-
【生姜の神様】エピソード5/業火の地下足袋
続きを見る

ハブ茶の茶葉
「ここでえいかや?」
オビ=ワンは、軽トラの荷台に積んだハブ茶を納屋に下ろしながら言った。「だいぶあるねゃ」
「だいぶあるち、こればぁないと足らんもの」オバ=アは眉毛を上げて口元を尖らせた。「これから揉むがずるうないわ」
「トロクソ植えるきよや」
「こればぁないと足らんと言いゆうろ?」オバ=アは強い口調で言った。
アンタはやかましい!
あっちへ行っちょり!
「おおの恐い、近寄られん」オビ=ワンはオバ=アに冗談だとわかるように、わざとおどけて言った。

ハブ茶の茶葉
家で飲むお茶はすべて、オバ=アが揉む「自家製ハブ茶」だ。
朝、昼、晩の1日3食に加えて、合間の時間にも喉が渇いたら飲む。
「ぎっちり飲むき、ハブ茶もだいぶいらぁのぉ」とオビ=ワンは思った。
夏場にハブ茶を揉むのは、毎年オバ=アの役目だ。
そのあいだオビ=ワンは菜園の野菜の世話をする。
「おおの、菜園するもずるうないよ」
数時間後、オビ=ワンは菜園でする野菜の世話を終えて、また家に帰ってきた。
「オバアは、まだやりゆうか」
「イチイチ言うてくれるなや」オバ=アは鬱陶しそうな表情を浮かべた。「ドッサリあるに簡単に終わるかね!アタシもようよやりゆう!」
ちくとダレた!休もう!
「休めや、休めや」オビ=ワンは苦笑した。
「お茶でも飲もうか」とオバ=アは納屋に置いた冷蔵庫に向かう。
冷蔵庫から取ってきたのは……
「おーいお茶」のペットボトル。
「お茶を揉みながら、ペットボトルのお茶飲みよったら世話ないねゃ」
笑いをこらえきれないオビ=ワンに、オバ=アは毅然とした態度で言い放った。
「喉が乾いたときは何でも飲まないかん!"歳がいたら水分不足に気を付けなさい"いうて、テレビが言いよったき」
-
-
【生姜の神様】エピソード7/買い物パートナー
続きを見る