「セルフ讃岐うどん屋 卸団地店」 超速

2016.01.18

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「セルフ讃岐うどん屋 卸団地店」 超速

2016.01.18

あぁっ………!
チャッチャとうどんが食べたい…!

<俺には時間がねぇんだ…!時間がよう……!!>
総理大臣か竜一か、多忙を極める昨今。

<早い・安い・うまい、が讃岐うどんの原点だと、テレビで讃岐のおばちゃんが言っていた…!そう言えばそうだよなぁ…。讃岐うどんってのは、マクドナルドみたいなものだったよなぁ…!>

素早くうどんが食べたい、新幹線みたいな速度でっ…!!

俺は…新幹線になりたいんだ……!

<そういうときは、どこのうどん屋に行けばいい…!やっぱりセルフか…!そうだよ!そうだった!セルフうどんこそ、新幹線……!>

讃岐うどん屋・卸団地店8

いまや、すっかり高知の人気うどん店の一つとなった、高知市御座、『セルフ讃岐うどん屋 卸団地店』

入口の自動ドアをくぐり、盆を取る。
店の奥へと続く長いセルフレーン。

このレーンの先にあるのは、のぞみ……!
俺たちの新幹線のぞみちゃんっ…!!

音速の戦いが…いま…始まる……!

カウンター越し、店のお姉さんに注文。
「冷たい醤油うどんの大!」何千回、いや何万回と、自宅で繰り返し練習した軽やかな発声。

「冷たい醤油の大ですね!」お姉さんの復唱にも被せ気味にドモって答える。

「だだだ…大で!」

なにせ讃岐うどんはファストフード。早さが重要。コンマ数秒のロスが命取りになる。

<醤油うどんにしたのも、退店までの速度を上げるため…!>
決まってるだろ…!<誰がどう考えても、熱い出汁がかかったかけうどんよりも、冷たい醤油のほうが早く食べられる…!>

出来上がったうどんを受け取ったら、次はトッピングコーナー。ここで揚げ物を取ったりする。

<ちく天!ちく天!ちく天!…ちく天はどこだ!>
瞬時に、ちくわの天ぷら『ちく天』を見つけ、トングで掴み取る。

駆け抜けた…!セルフレーン…!
そのタイム!体感で三十八秒五……!!

<新記録達成っ……!>
密かな感動を胸に、レジという名の駅へ到達。

うどんを載せた黒い盆を持って、窓際に面したカウンター席に座る。

<チャッチャと食べて出てやろうじゃないか…!俺が音速のうどん士だということを証明してやるっ…!>

がっ!しかしそのとき!
異変に気付く………!

<なんだこれは……>

讃岐うどん屋・卸団地店11

<カブか………?>

否っ!大根っ!
大根なんです…!

讃岐うどん屋・卸団地店9

そうだ……そうだよなぁ………!
そんな簡単にうどんが食べられるわけがないよなぁ…!!

<人生だって、そう。追い風だと思ってたら、じつは向かい風で、向かい風だと思ってたら、横風だったり右斜め向かい風だったり左斜め追い風だったりするんだよ!>

もっとも…大根をおろさなくても醤油うどんは食べられる…。しかしそれでは世間が認めない。靴を履かずに外に出るのと同じこと。

やっぱり大根をおろさなきゃ………!
卸団地店で、この大根をおろさなきゃ、醤油うどんは食べられないんですっ!(卸団地で大根おろし、上手いっ!)

讃岐うどん屋・卸団地店10

必死で大根をおろす。
<大根を自分でおろしてこそ、『セルフ讃岐うどん屋』の醤油うどん……!!>

丼内に鎮座する白い麺。そこにおろし終えた大根をかけ、さらに醤油を回す。

讃岐うどん屋・卸団地店12

やったぞっ…!醤油うどんが完成したぞ…!!

達成感に満たされ、食べる麺。
<舌触りツルンツルン……!>

ちょいと、ちく天もつまんでみる。
そのとき、さらなる衝撃が襲う。

<コイツ……ただのちく天じゃねぇ……!!>

中に…なにか入っている……!

<なんだこれ…なにが入っているんだ…!まさかっ!>

ツナ、お前かい?

近所の猫にも食べさせてあげたい、ツナ入りちくわが、ここにあった。