【2011年・晩夏の西部珍道中・6部作リンク】
『海洋堂 ホビー館 四万十』 → 『この記事』 →
→ 『いろりや 前編/幻のネバネバぶっかけ』 → 『いろりや 後編/魔法のうどん』 →
→ 『西部ウルルン滞在記 「道の駅・ビオスおおがた」で出逢ったぁー』 →
→ 『本場手打うどん 庄壽庵』
『海洋堂ホビー館四万十』を後にした私は、当然タダでは帰らない。
大好きな『う』が付くものこと、『うどん』を食べに行く。
うどんを食べずには帰れない。
いや、帰るわけにはいかない。
ホビー館から家までは、2時間ほどかかる。
帰りがけに禁断症状が出たら大変だ。
<せっかく西に来たからには・・・行くでっ・・・!>
高知県西部の雄・・・!
『いろりや』へっ・・・!
ホビー館には北側の道を通って襲来した竜一。
だが、グーグルマップで見てみると、
『いろりや』の位置は、ホビー館のずっと南、海の側。
元来た北側の道を引き返して行くとすれば、明らかに遠回り。
北側の道を引き返すぐらいなら、
ホビー館南側の道を進んだほうが、どう見ても近い。
けれども、ホビー館南側の道について聞かれる噂は、あまり良いものではない。
「狭い」「すごく狭い」「めちゃめちゃ狭い」「信じられないほど狭い」と聞く。
それでも、竜一。
この局面、攻めの選択。
<引き返すなんて・・・しちめんどくせぇ・・・!
狭くて上等・・・!俺の辞書に『急がば回れ』なんて御託はねぇ・・・!>
ちょっと過酷なぐらいが・・・!
刺激的で魅力的っ・・・!
信じる・・・己のドライビングテクニック・・・!
選択・・・!南側のルート・・・!
そして、南下。
海沿いの国道56号線を目指す。
噂通りに、狭い田舎道。
しばらく走ると、眼前に現れた、コワモテのガードマン。
大きな体で道の真ん中に立って、赤旗を提示している。
なにかの工事をしているようだ。
あとから知ったことだが、
それは、50分間通行止めで10分間だけ通れる、
いわゆる『時間待ちの工事』だった。
どうやら看板を見落としていたようで、
そうとは気付かず、通常の交互通行だと考えていた竜一。
5分ほどが経過しても、
一向に白旗を振らないコワモテのガードマンに、
次第に疑念を抱き始める。
<えっらい・・・通れ言わんなぁ・・・!
これ・・・もしかして・・・時間待ちの工事ちゃうんけ・・・!>
だが、聞けない。
相手はコワモテガードマン。
周りは誰もいない山中。
このコワモテガードマンの気に障るようなことを言えば、
どんな目に遭うか分かったもんじゃない。
ただただ待つ。
辺りは静まり返っている。
コワモテガードマンは、手が疲れたのか、
水平に持っていた赤旗を下ろした。
そして、道の真ん中に立ち塞がり、
一歩たりとも動かない。
黒く日に焼けた肌。
帽子のツバの下から、ギラリと鋭い目が光る。
<いつまで待ったらええんやろ・・・!>
不安になる。
だが、聞けない。
その時、後ろから小型のバスが来た。
<路線バスか・・・!?>
バスが一筋の光に見えた。
<もしこのバスが・・・路線バスやとしたら・・・!
たとえこれが時間待ちの工事やったとしても・・・!>
間違いなく・・・!
待ち時間は・・・もう僅かっ・・・!
<バスがお客を乗せて長時間待たんといかんような・・・!
そんな運行の仕方をしているわけがねぇっ・・・!>
予想、的中。
バスが後ろに付いてから2分ほどが経過した頃、
コワモテガードマンが、ついにパタパタと白旗を降り始めた。
私が車で横を通り抜けようとすると、
コワモテガードマンは、「ニコッ」と笑って頭を下げた。
<こ・・・コワモテはん・・・!
ホントはこの人・・・めっちゃエエ人や・・・!>
私は感動してしまって、
もはや半泣きだった。
やがて徐々に山が開けて、
狭かった空が広くなって来る。
<ついに来たぜ・・・黒潮町・・・!>
がっ・・・!
<あれ・・・ここ黒潮町ちゃう・・・!
なんか・・・四万十市とか・・・書いてある・・・!>
その時、竜一。
ようやく気が付いた。
あらま・・・!俺・・・!
途中で・・・道・・・間違えたんやっ・・・!
<もうなによこれ・・・!時間もガソリンも超無駄やった・・・!
なんで四万十市まで来てん・・・!もう・・・ホンマにホンマ・・・!>
圧倒的自己嫌悪。
下がるテンション。
<まぁ・・・しゃあない・・・!人生七転び八起き・・・!
俺は転んでもタダじゃ起きん・・・!
起き上がりながらうどんを食べる・・・食べるんやっ・・・!>
スタンドアップうどん・・・!
いろりや・・・!
IKUZE・・・!!
(次回・・・!いざ『いろりや』へっ・・・!)
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