披露宴翌日から粘りまくり! 「麺房まつみ」

2015.01.14

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披露宴翌日から粘りまくり! 「麺房まつみ」

2015.01.14

ホテルのベッドで目が覚めた。
昨日大丈夫だったかな。楽しんでもらえたかな、
などと寝起きから不安な気持ちになった。

結婚式の翌日ってもっと幸せに
包まれているものだと思っていた。

幸せだ。
幸せだけれど不安だ。

最後の新郎挨拶も、
私らしいグダグダっぷりだったので…。

嫁のお父さん、
お母さん的に、

大丈夫だった
のかと心配だ…!

<まぁ………!
いまさらなにを言ってもあとの祭りさ…!
それに…俺は俺であれが限界……!>

通常であれば、
娘を返してもらい
たくなるレベル。

<だが………!
ちゃんとしろと言われても…120%……
目一杯の力を振り絞った結果があれなのでねッ…!!>

新郎の心労。

しかし………!

昼ごろに嫁の実家へ遊びに行くと、
いつもと変わらない雰囲気で
ニコニコしていたので安心して、
嫁と一緒に昼食を食べに行った。

昼食は、もちろん………。

2012トップ2-1-1 完成!

うどん。
それしかないっ!

私はうどんが好きです。

<式の翌日からうどんを食べることを、
嫁にも強要する……!
私と結婚したからにはだ……!!>

だがそのとき嫁、
わりと乗り気。

「どこ行こかねぇ」
二人で話し合った結果。
私が一方的に決めて……。

麺房 まつみ

『麺房 まつみ』に決定!

<オープン当初に来て以来だ…!>
もう何年ぶりかわからないよ。

手打ちうどんまつみ7

すっげぇ粘ってる!

他の人がネットに上げている画像を見て、
「うわー!美味しそう!」
と前々から思っていた…

手打ちうどんまつみ9

『山かけぶっかけ』で、
披露宴後、初うどん!

その『山かけぶっかけ』は、
「温」と「冷」が選べた。

<冬真っ只中……!
この局面……当然…「温」……!
俺は寒いんだっ………!>

手打ちうどんまつみ10

熱い出汁をぶっかけて!
食べおおせっ……!

だが…しかし…!
ここ一番で……!

手打ちうどんまつみ11

画像………!
ブレおおすっ…!

一世一代のイベントをやり遂げたという達成感。
それが生んだ油断。

農業界のうどん野郎として…!
痛恨の極みッ………!

まぁいいや。
じつはわりと気にせず食べる。

麺が見えないほどかかった山かけが、
いやでも麺に絡みつき、粘ってくる。

圧倒的……!
粘着力っ……!!

粘りが麺を、
麺が粘りを連れてくる。

至福……!
至福の連行っ…!!

そのとき嫁、左隣。
食べていた。

手打ちうどんまつみ4

あんかけ卵とじうどん!

満面の笑みで食べている。
憎たらしいほど笑っている。

そっと声をかけた。

「ちょっとだけ頂戴…!」

すると、すぐさま
『あんかけ卵とじうどん』が入った器を
こちらに滑らせてくれた。

この人の一番良いところは、
嫌がらずに自分のうどんを
私に分けてくれるところだ。

「ボクの顔をお食べ!」

みたいなノリで、

「ボクのうどんをお食べ!」

と言ってくれる。

まるで、
アソパソマソみたいだ。

顔も丸くてアソパソ……
(この先を言うと大変なことになる)

その嫁。

「めっちゃ暖まるー!」

などと、あんかけ系のうどんを
食べた人にありがちな普通の感想を述べ、
口を動かしている。

素人め………!

この道10年のベテランであり、
うどんを食べるプロである私は嘲笑した。

もちろん心の中で。

ひとしきり心の中で小馬鹿にして
あんかけ卵とじうどんに手をつける。

<うわぁ………!>

プロである私。
麺を2本ほど箸で摘み、
飲み込んだ瞬間、言ってやった。

手打ちうどんまつみ5

めっちゃ暖まるー☆

ダメだった。
抑え切れなかった。
素直な乙女心。

冬の寒さに、
熱々のあんかけ!

こりゃたまらんっ!

手打ちうどんまつみ6

しかし私は誰が
なんと言ってもプロだ。

プロはプロらしいコメントを
残さなければならない。

「麺がプリンプリンやね…!」
今度は、わりとプロっぽく言ってやった。

「ここの店主が修行したと聞く、
伊勢崎町の『三宅』に
食感がやっぱり似てるんよね」

豆知識も交えて
プロっぽく言ってやった。

だが、反応が薄い。

<あれっ…おかしいな……>

私は麺を飲み込みながら、
もっともらしく頷き、もう一度言った。

「麺がプリンプリンや」

しかし嫁、首を傾げて言う。

「プリンプリン、ではない」

「えっ!プリンプリンやん!」

再度嫁に言うも、
嫁も再度首を傾げる。

「んーーー。
プリンプリンではない」

<違うのか……!
これってプリンプリンじゃないのか!>

私はわからなくなった。
いままで信じていたことが、
じつは嘘だったときみたいな感覚だ。

次第に自信がなくなり、
弱々しく訊いた。

「プ…プリンプリンじゃなかったら、
どんな感じよ」

嫁は、しばらく考えてから口を開いた。

「プルンプルン」

「プルンプルン!?
プリンプリンとなにが違うんだ!」

「プリッと弾力があって
弾ける感じじゃなくて……」

「弾ける感じじゃなくて…?」

「噛んだらプルンッとなる感じ」

なるほど。
言われてみると、
たしかにそんな気もする。

これはたしかに、
プリンプリンではなく、
「プルンプルン」だ。

ホントだ!

口に含んだ瞬間から、
プルンプルンだ。

まつみのうどんは、
プルンプルンだ。

↓ 読了ボタンを押していってね!(笑)