天王の丘にマチュピチュの如く、
長年、うどん開拓民に発見される事なく佇んでいた喫茶店うどん、『めんどーる』
その『めんどーる』は、可愛らしい外観からは想像が付かない、
獰猛なる全速強襲で、竜一に襲い掛かってきたのだった。
「ぜぇ・・・ぜぇ・・・"オマエも玉子焼きにしてろうか・・・!"
そんな勢いだったぞ・・・!めんどーる・・・!」
勝負は紙一重・・・!
どっちに転んでも不思議はなかった・・・!
あともう僅かな気の緩みでも俺にあれば・・・!
俺は天王の丘で玉子焼き・・・!
それも・・・充分にありえた・・・!
とりあえず帰るか・・・!
いや・・・待て・・・!ちょっと待て・・・!
<めんどーるで食べたのは・・・!いわゆる並・・・!
まだあともう少し・・・若干なら胃袋に空席がある・・・限度一杯というわけじゃねぇ・・・!>
どうする・・・!
座らせるかその空席に・・・小麦を・・・!
"めんどーるを出た竜一・・・!車内で思案・・・!
もう一軒ハシゴをしようか・・・というわけだが・・・!
もう一軒・・・その一軒が・・・優柔不断な竜一には決められない・・・!"
「この辺、うどん屋が多過ぎる!」
<めんどーるから一番近いのは・・・ちっ子亭・・・!
だがちっ子亭は近すぎて・・・あまりにも過度・・・過度な連投・・・!
少しめんどーるを溶かさないと・・・さすがにツライ・・・!>
んんんんんんんんんんん・・・!
悩み・・・!考える・・・!竜一・・・!
考える・・・!考える・・・!考える・・・!
その時・・・脳天突き抜ける・・・!
圧倒的っ・・・!閃光・・・!!
「せやっ・・・!土佐市行こう・・・!」
天王の丘を西へ下り、到着!
『黒潮うどん』
<我輩・・・通算3度目の来店でござる・・・!>
[1度目] [2度目]
時刻は13時を回った頃だっただろうか。
店内、ほぼ満席、老若男女で大賑わい。
<えらいもんやなぁ・・・!
だいっ盛況やで・・・!!>
しかし、さすがはセルフ。
カウンターにズラリと並んだ人の列は、
むしろ注文を考える間もないほどの速度で、ドンドンと前に進む。
<過去2回はいずれも醤油だったから・・・!
今回は釜玉にしようか・・・だけど釜玉・・・あるか・・・!?
メニューに・・・!>
カウンター上部に書かれたメニューの中から『釜玉』を探している間に、
来てしまった、竜一の番。
「ご注文どうぞ・・・!」
<えっ・・・まだ決めてないっ・・・!
どうしよう・・・おやっ・・・ぶっかけは温玉付きだとか書いてある・・・!
あぁじゃぁもうえい・・・それっ・・・!それにしとこう・・・!>
「ぶ・・・!ぶっかけの・・・!ちゅ・・・!」
<ああっ・・・!?
ぶっかけの中と大って・・・70円しか変わらへんのかいや・・・!>
だったら、勝負だっ・・・!
「ぶ・・ぶぶ・・・ぶっかけの大で・・・!」
「はぁい・・・ぶっかけの大入りましたぁ・・・!」
<あぁっ・・・入ってもうた・・・大・・・ぶっかけの大・・・ガッツリ入ってもうた・・・!
大丈夫かしら・・・アタシ・・・めんどーるから合わせたら・・・!4玉やでぇっ・・・!
間違い無しに彷徨うでぇ・・・死線をよぉっ・・・!!>
大丈夫じゃなかったとしても、もう後戻りなんて出来ない。
竜一の目の前にある盆の上には、既にドンブリ、鎮座。
不安に満ちた重い足取りで、レジに達す。
レジ前には、セルフ店によくあるみたいな、薬味を入れた容器が数個。
この時、
感じた、
違和感。
<あら・・・俺のぶっかけうどん・・・!
薬味なんか入れなくても・・・既に薬味が乗っている・・・!>
足りない場合用か・・・!
いや・・・!でもネギ・・・現状テンコ盛り・・・!
<これ以上のネギ投入・・・!それは無い・・・!
生姜も乗っている・・・薬味は揃っている・・・もう入れる必要はねぇ・・・!
だけど・・・俺の目の前には・・・たしかに薬味が盛り沢山・・・ネギは山盛り・・・!>
こうなると、なんとしてでも何か薬味を入れたくなり、
わりとどうでも良かった大根おろしを、無理矢理乗せてみた。
『ぶっかけ(大)』
ネギっ・・・!
ぶっかけ出汁、ツユダク。
かなり量が多い。
<よう考えたら・・・俺・・・!
めんどーるからぶっかけ2連発やーん・・・!
いま気付いてん・・・!>
温玉先生・・・!
覚悟っ・・・!
「ブシュッ・・・!」
コイツは・・・まるでアマゾン川・・・!
割箸の幅の二倍強・・・ブチ抜けた広さ・・・アマゾン級に広大な麺幅で・・・俺に掴みかかって来やがるっ・・・!!
<それにしても・・・固い・・・!これほどまでに固かったか・・・!
噛んだ瞬間から噛み終わるまで・・・!物凄く固いっ・・・!
あぁっ・・・そうか考えてみれば・・・過去二回はいずれも『醤油うどん』・・・!>
黒潮うどんの醤油・・・!
そのデフォは『温醤油』・・・!
<クッ・・・!とどのつまり・・・!
俺は一度だって・・・ココの冷たい麺を喰った事が無かったんだ・・・!>
"この固さは想定外・・・!
固いからこそ溜まる・・・溜まる・・・ズッシリ溜まる・・・!
そして半量ほどを食べたところで・・・竜一の目から徐々に光が失われ始める・・・!"
<獰猛・・・これは荒々しい・・・!
圧倒的固さ・・・!麺が丸々胃に圧し掛かっていく感覚・・・!>
この麺は俺を潰すっ・・・!
<しかも・・・ぶっかけ出汁・・・フルスイング型・・・!
淀みが無いというか・・・容赦ない・・・!コイツ・・・ブンッブンッ来る・・・!>
"後半、大幅にペースダウンしながらも、
なんとか喰いおおし、最後はニッコリ、いやグッタリ。"
『かけ(中)』
麺の表情、かけでは激変。
固さがまったく違い、柔らかめのプニシコ食感。
<あぁっ・・・!これ・・・!
これこそ俺が知っている黒潮うどん・・・!>
同じ店の同じうどんでも、
「温」と「冷」では、大抵どの店でも麺の感じが少し変わる。
けれども、ここまで激変する店は珍しく、
その変貌ぶりに大きな衝撃を受けた黒潮うどん。
「うどんって面白いなぁー」
帰りに隣の直販所で、
イチゴを買って帰った。
◆ 黒潮うどん(土佐市)
営業時間/11時~14時30分(オーダーストップ)
定休日/毎週水曜日・第2木曜日
営業形態/セルフ
駐車場/いっぱい有
(しょうゆうどん中350円、かけうどん中250円、ゲソ天100円など)
『黒潮うどん』の場所はココっ・・・!