『一軒家のエピソードを読む』
「一軒家」を出た、がちゃさんと私。
私は、がちゃさんをユラユラと誘導しながら、
是非一緒に行って欲しかったお店へ
酔いも醒める勢いで、ひたすら歩いたが、そこは定休日!
<あれま・・・!
定休日・・・変わってる感じ・・・>
他のお店と言っても、
どこがあるんだろうとゴチャゴチャ考えた!
"瞬間記憶消去機能付き頭脳"を
フル回転させて考えた末に、以前、某・飲み友達が、
某飲み友達に薦めているのを、又聞きしたお店を思い出した!
<行けッッッ・・・!
俺たちの未来は!ここに託された・・・!>
『旬菜 よこやま』
(このときの話を、がちゃさん視点で読む)
「追手前公園」の、
すぐ東側にあるお店である。
「安くて美味しいって聞いたんやけど、
見た目高そうでね・・・大丈夫かな・・・」
などと不安を口から吐き出しながら、
戸を開けた。
入店!
大将と女将さんらしき方がいた。
付き出し!二品
<煮物の上にカキが乗っている・・・!
このカキ・・・がちゃさんに渡してなるものか・・・!
俺が・・・俺がこのカキは食べるッッッ・・・!>
などと私は徹底的に
カキの行方に目を光らせた・・・!
再度!
乾杯・・・!
玉子焼き!
焼はまぐり!
きびなご塩焼!
キビナゴを天ぷらで食べたり、生で食べたりしたことはあっても、
「塩焼」で食べたことは一度もなかったので、
興味をそそられて注文した!
ちょうど食べ終わったころ、女将さんに、
初めて食べる「きびなごの塩焼」はどうだったか!
と味の感想を聞かれたので、
「めちゃめちゃ美味しかったです!
最高です!塩焼でもイケるんですね!」
と、もうこれを食べたので思い残すことはない!
みたいな勢いでワザとらしく絶賛しておいた!
でも本当に美味しかった!
その後、がちゃさんと、
宇宙誕生のメカニズムについて語らいながら、
まったり過ごしていた。
やがて、お互いのグラスが空いた。
料理も平らげた。
「そろそろ出る?」「そうだね」
なんて恋人同士みたいな会話をしていたとき、
女将さんが何やら持ってきた!
『焼きイノシシ』
「サービスやき食べてみてやー!」と女将さんは言った。
ここまで砕けた口調ではなかったかもしれないが、
たしかにそんな趣旨のことを言った。
<わー!ラッキー!
出ようかと思っていたが・・・!
こうなったら!もう一杯!飲むしかない!>
再度!飲み物を注文して!
今宵!何度目かも段々わからなくなってきた、乾杯!
イノシシ、旨い!
柔らかい!全然臭くない!
酒にもかなり!かなり!合う!
追加注文した焼酎ロックが一瞬で空いた。
去り際。
常連風の初対面のオジサンに、
なぜか手を差し出された。
私は戸惑うこともなく条件反射的に、
オジサンの、その分厚い手を握り返した。
数秒間の固い握手を交わしながら、
見つめ合う、オジサンと私。
振り返ると、がちゃさんがお店を出ようとしていたので、
オジサンに「また!またどっかで!」と声をかけて、
私はがちゃさんの後を追って退店した。
<危ない危ない・・・!
もう少しでオジサンとの恋が始まるところだったぜ!>
(続く・・・!)
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