『EP1を読む』
安芸市までドライブがてら、やってきた。
でも安芸市で何をすればいいのか、わからなかった。
私は『安芸観光情報センター』を訪ねた。
そこで見つけたものは、歌碑めぐり・・・。
安芸市で生まれた作曲家・弘田龍太郎氏の歌碑をめぐるというものである。
『大山岬(おおやまみさき)』から眺める太平洋は灰色だった。
<いよいよここから"歌碑めぐり"という、一世一代の大勝負が始まるんだな>
と私は思った。空は厚い雲に覆われている。
目指す第1歌碑は『道の駅・大山』の脇にあった。
<ここに歌碑があったなんて・・・>私は歌碑をシゲシゲと見つめた。<いままでこの道の駅には何度か寄ったことがあったのに、まったく気が付かなかった>
歌碑は、誰が見ても歌碑、といった雰囲気で佇んでいる。
<うーん、こういう歌碑をただ回るだけでは、ハードルが低すぎる>とドMの私は思った。<もっと自分に試練を与えないと・・・>
そこで私は「歌碑めぐりを行う上でのマイルール」を急遽考えた。
考え出したマイルールは以下のものだ。
★★ 歌碑に付けられた番号と曲名を発声しながら、歌碑の前で変なポーズを決める。★★
このくらい私にとっては朝飯前であり、あまりハードルは上がらないが、やらないよりはマシだ。(ドM的に)
<では早速・・・>
大山岬に設置された歌碑の前に立ち、おもむろに両手を広げる。
「1番!浜千鳥!」
(※ ポーズは浜千鳥をイメージしたものです!!)
<決まったねぇ!いやぁ!最高に決まった!>
私は自画自賛した。しかし一抹の不安も広がる。<この調子で残り9ヵ所・・・これは・・・>
面白いのか?
小雨が降っていたので、さっさと車内に戻る。
そして『ちーず屋』で買ってきたチーズケーキを箱から取り出す。
購入したチーズケーキは3つ。
『ちーず屋』の中でも人気ナンバー1だという、『ニューヨークチーズケーキ』人気ナンバー2の『スフレチーズケーキ』さらには『レアチーズケーキ』である。
<それじゃあ、ナンバー1のニューヨークチーズケーキからいってみようか・・・>
フォークが無いので、そのまま噛り付く。<おっ!おっ!おっ!これは・・・>
圧倒的!太平洋!
チーズの芳醇な香りと濃厚な味が、太平洋のように広がる。
<こりゃー人気が出るわけだ・・・!>と納得した。
ちゃんとニューヨークの味がするもの!
食べ終えて、次の歌碑を目指す。
2つ目の歌碑には、大山岬の「浜千鳥」から距離的に一番近い歌碑を指名。
「雀の学校」という名の歌碑だった。
<どうやら安芸市の中心部にあるようだな!>
地図に従って高級な軽自動車を走らせる。
中心部に近付くに連れて、段々と建物が増えてくる。
道行く通行人も多くなってくる。
自転車に乗ってフラフラしている、オジサン。
手押し車を押し、全速力で信号を渡るお婆さん。
安芸市の日常を目の当たりにしながら、アクセルを踏み、時にはブレーキも踏み、ハンドルも回す。
やがて小さな橋の欄干に、歌碑があるのが見えた。
「三日月」と書かれている。
<あれ・・・"雀の学校"じゃない・・・>
私は混乱した。<いったいこれはどういうことだ・・・>
本来「雀の学校」の歌碑があるはずの場所に、「三日月」の歌碑がある。
しかも「三日月」という曲は、歌碑めぐりの資料に掲載されていない。
<なんだこれは・・・不思議だ・・・謎が謎を呼んでいる・・・>
名探偵のように考えていたとき私の中に、ある疑念がわく。<もしや・・・雀の学校は、どこかに隠されているんじゃないのか・・・>
辺りをくまなく探す。
道ゆく安芸市民に、聞き込み調査をする勢いで探す。
「雀の学校の場所、ご存知ですかぁー!」
―――2年後。2分後。
<あった・・・!雀の学校!あった・・!>
正解の「雀の学校」の歌碑は、「三日月」の歌碑から一番遠くに位置する欄干に設置されていた。
<やっぱり雀の学校は存在していたんだ・・・!だとすると・・・>
背筋に冷たいものが走る。<だとすると・・・三日月は・・・!>
ダミーっ!?
<お・・・恐ろしい・・・なんと恐ろしいんだ!歌碑めぐり・・・!>
両手がプルプル震えた。<挑戦者の行く手を阻むように!ダミーが仕掛けられているなんて・・・危うく罠に嵌るところだった・・・!>
「雀の学校」の歌碑に刻まれた詩に目を通しながら、冷や汗を拭き、苦笑する。
<最初の歌碑はすぐ見つけられたのに、2つ目の歌碑は意外と苦戦したな・・・>
では・・・。
「5番!雀の学校!」
せっかくだし、ついでに・・・。
「番外編!三日月!」
※ 残るは8ヶ所!このあと無事にすべての歌碑をめぐることができるのか!お見逃しなく!
画像の竜一がやけに厚着なのは、撮影したのが2月だからです・・・。(汗)
『EP3を読む』