『EP2を読む』
安芸市で生まれた作曲家・弘田龍太郎氏の歌碑をめぐる『歌碑めぐり』
開始からチンタラしすぎ、まだ回った歌碑は「浜千鳥」と「雀の学校」のわずか2つのみ。
残りあと8つ。日没までに回りきれるのか・・・!?
次に目指す歌碑は、8曲碑「鯉のぼり」
高級な軽自動車を駆り、安芸市内を北上する。
<うぇっ・・・!>
目の前の光景を見てハンドルを持つ手に力が入る。<えらく狭い道ですなぁー>
"襲い掛かる、安芸市!"
道幅は、車1台がやっと通れるほど。
そのすぐ右側に、車1台が水没できるほどの広い水路を掘り、大量の水を流している。
<おいおいおい・・・!>
無論、道と水路のあいだには、ガードレールなど一切ない。<これハンドル操作を少し間違えるだけで、落ちれるよっ・・・!>
高級な軽自動車のタイヤは、水路から数センチ左、ギリギリで道に載っている状態。
きっと水路の中には、これまでに安芸市の罠にハマリ、水没した車が大量に沈んでいるものと思われるが、確認する余裕はない。
ハンドルを握り締めて、慎重に前に進むしかない。
目を閉じ、フォースの力を信じて・・・。
<うわーっ!怖かった・・・!>
心臓がドキドキ鳴っている。<涙がちょちょぎれた・・・!>
なんとか水路の罠を無事に潜り抜けて、私はいくらか安心するとともにグッタリした。
疲れ果て、全身に力が入らない。
深呼吸をする。自分の吐いた息からチーズケーキの香りがした。
目指していた「鯉のぼり」の歌碑は、安芸市の観光名所の一つとして有名な『野良時計』のすぐそばにあった。
野良時計には、今日も数人の観光客が訪れている。
しかし私は野良時計に見向きもしない。
<野良時計どころじゃない・・・!早くしないと日が暮れちゃうから・・・!>
私は「鯉のぼり」の歌碑の横に駆け寄ると、発声し、ポーズを取った。
「8番!鯉のぼり!」
それからまた獣道のような道を走り、次の歌碑へ。
この辺りから、迫る日没の恐怖と、"めぐり慣れ"により、降車から撮影までの展開が速くなる。
「7番!叱られて!」
<子供の頃は、大人によく叱られたねぇ!>
あぁ、叱られた!と自分の言葉に答える。
叱られて育った結果が、アルチューさ!
<あぁー!焼酎が欲しい!>
と思いながら駐車場に車を停め、『内原野公園』の坂を上る。
<おやっ!池がある・・・>
坂を上りきると大きな池があった。池のそばに設置された石碑の記載によると、『弁天池』という"ため池"らしい。
「へぇー・・・大きいねぇ・・・」
と私は感想を述べた。
次の歌碑は、その「弁天池」の脇にあった。
「2番・・・!」
「咲いた桜に!」
<咲いたねぇー!>
あぁ、ボクは咲いたよ!と自分の言葉に答えた。
この2曲碑「咲いた桜に」が、歌碑めぐり最北端の歌碑である。
そこでこれより南下する。
次の歌碑は、『野良時計』と同じく、安芸市の観光名所として有名な『岩崎弥太郎の生家』の真ん前にあった。
だがもちろん今は、岩崎弥太郎よりも、歌碑めぐりだ。
私は「岩崎弥太郎生家」の前で記念撮影する観光客を横目に、歌碑の前でポーズを取った。
「6番!春よ来い!」
残り!あと4つ!
(続く・・・!)
『EP4を読む』