<いくらうどんが好きでも・・・>
と私は思った。<うどんばかり食べていたのでは栄養が偏る・・・!>
うどん以外のものもバランスよく食べなければならない。
土曜日。
うどんから逃げるよううにしてやってきた、高知市本町。
昼前の静かな天神橋通りを北へ歩く。
そこに『カフェ・レスト・柊』もまた静かに佇んでいた。
開け放たれた扉から中へ入る。
空間、綺麗。礼儀正しい雰囲気の男性店主が迎えてくれる。
<店も綺麗・・・店主も綺麗・・・>
と私は口の中から外に出ないぐらいの声で呟く。
何か落ち着いた店の雰囲気と店主の雰囲気が似ているというか、同じであるように思える。
私は一番隅のソファーに腰を下ろした。
ランチメニューは6種類。
「オムライス」と少し迷ったけれど、「日替わりランチ」にした。
<内容が日によって変わる日替わりランチ・・・!
それならば!今日の流れに身を委ねてみるのもいいじゃないかッ・・・!>
日替わりランチを注文して、待つ。
落ち着ける空間。心安らぐ時間。
栄養のバランスをとるために、うどんから逃げるようにして僕はここにきた。
うどんから逃げるようにして・・・うどんから逃げるようにして・・・。
うどんのことは好きだけれど、僕だってうどんじゃないものを食べたくなるときだってある。
"相田みつを"じゃないけれど、僕だって・・・人間だもの・・・。
<うどんから逃げるようにして・・・>
と私はまた口の中から外に出ないぐらいの声で呟く。<うどんじゃないものを・・・>
だが・・・。
僕はうどんから逃げられない。
ぬぉぉぉぉっ・・・!
日替わりランチに・・・!
うどんが付いているという、まさかッ・・・!
私は目を疑った。
今日はうどんの顔など見たくもなかったのに、日替わりランチのプレートの上に涼しい顔で鎮座しているのは、紛れもなく、うどん!うどんなのだ・・・!
うどんは、どこまでも追いかけてくる。
<あ・・・あり・・・ありがたいっ・・・!>
と思いながらも混乱。変な汗が出てくる。<俺はうどんから逃げられないッ・・・!>
この日の日替わりランチ。
メインは「えびチャーハン」
それに、うどん、サラダ、デザートが付くという内容。
店主が丁寧に拵えてくれたことが、わかるようなチャーハン。
米の一粒一粒に味が付いている。
シメジが入ったうどんは出汁を優しく香らせる。
時が穏やかに流れている。
<なんか、ほっこりするのぉー!>
私が食べ終えるのを、店主はチラッと見て確認してデザートを持ってきてくれる。
<ちゃんと見てくれてるー!>
わざわざコチラから「すいません・・・デザートを・・・」と言わなくてもよいのはコミュ障にはありがたい。
デザートは、プリンの上に生クリーム(ホイップクリーム?)が乗ったものだった。
私はそれを食べて店を出る。笑顔で送り出してくれる店主。
<うどんから逃げられなかったけど・・・>
と私は思った。<喫茶店で食べるうどんもエエなぁ・・・>
エエお店やった。
◆ Cafe Rest 柊
高知県高知市本町2-5-17(地図)
営業時間/11:00〜15:00
定休日/日曜日
駐車場/無