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二十代の内に、しておきたかったけれど出来なかったこと。
それが『海外旅行』だ。
だが、一口に"海外旅行"と言っても、
多くの人が想像するであろう一般的なソレと、
私がしたかった海外旅行は、おそらく違っている。
私がしたかったのは、一人で、バックパックを背負って、
安宿に泊まりながら、長期間、様々な国々を旅する、そういう海外旅行だ。
けれども、私もとうとう三十である。
まだまだこれからじゃないか、
と声をかけてくれる心優しい人もいるかもしれないけれど、
この夢を思い描き始めた十代後半の頃や二十代前半の頃と、
今の自分が置かれている環境は違う。
第一に、その頃とは感性が違ってしまっていて、
旅に出たとしても、その頃に旅をするのと、いま旅をするのとでは、
感じ得るものが根本的に違うだろうということと、なにより、
守るべきものができた。
それは家族だったり、
畑だったりするけれど、一番は、自分。
自分にもしものことがあると、
いろんなことが崩壊して、終わる。
だから、そういう危険な目に遭う確率が
必然的に高まるスタイルの旅行はもう出来ないだろうし、
冒頭の記述の通り、"したい"ではなく、"したかった"。
もしもこの先、人生初の海外旅行に出掛けることがあったとしても、
その旅がバックパックを背負った旅であったとしても、
間違いなく、ハタチ前後の頃に夢見ていたような経路は辿れない。
しかし、海外・・・とりわけ東南アジアの国々に対する憧れは依然として強く、
ベトナムに行ってみたいしインドネシアにも行ってみたいし、中でも最も行きたいのは、タイ。
いろんな作家が書いているタイの紀行文によく出てくるみたいな、
東南アジア独特のゴチャゴチャとした雰囲気の夜の街の屋台で、
なにやらわからない料理を、なにやらわからないまま食べて、「なんだろうこれは!」と考える。
店主にその正体を聞いてみたいのだけれど、
日本語以外の言語は「イエス・ノー・センキュー」しか喋れない私には、
質問することさえも出来ないし、答えてくれたとしても理解できるわけがない!
でも!でも・・・!
そういうワケの分からない環境に身を委ねてみたい・・・!
そんなタイの料理が食べられる店が高知にもあると知ったのは、
つい先日のことで、何処のうどん屋に行こうかと、自宅でネット検索をしていた時のことだった。
うどん屋を検索していてタイ料理の店がHITした辺りがグーグルの神秘だが、
見た瞬間から「ココは絶対に行きたい・・・!」という衝迫に駆り立てられて、
知ったその日に行ってきた。
4月3日。
台風並みの異常な強さの風が吹いて、横殴りの雨が降る日だった。
<なんだかすごく人気がある店で、いつも満席らしいけれど・・・
こんな天気だ、きっと今日なら空いている、むしろ行くには絶好の日・・・>
出掛けには、車を運転しているとハンドルを取られるほどの暴風が吹いて、
前が見えないほどの雨が降っていたけれど、
高知市内に達する頃には雨はほぼ止み、風もいくらか勢いを無くしていた。
『ひろめ市場』の上階にある駐車場に車を停めて下に降りて、すぐに発見。
『cafe chang (カフェ・チャン)』
(EP2へ続く・・・!)
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