オープンした当初は「麺が細いうどん屋さんだなぁ」ぐらいにしか思わなかったのに、
『武蔵野肉汁うどん』を食べて「おぉ!この店面白いことになってきたぞ!」と、
急速に興味を持ち始めていた矢先であった昨年12月のある日。
突然長期休業に入った、香南市野市町の『吉川』
その吉川が、3月16日、ついに復活。
<待ってたぜ、吉川ちゃん・・・!
キミには早速ボクの胃袋に入っていただくよ・・・!>
元来の人混み嫌いで、祭りやイベントなんかあんまり好きじゃないし、
新規店や、今回の吉川みたいに、営業再開直後で、
いかにも混んでいそうな場面を極端に嫌う男が、まさかの翌日来店。
17日に参上っ・・・!
『手打うどん 吉川』
<16日に来れないこともなかった・・・!
だが、さすがに復活初日は恐ろしかったぜ・・・!
激混みだったら俺のテンションがガタ落ちだしなぁっ・・・!>
戸を開けると、そこには長期休業していたなんて、
知らなければ分からないほどに、以前と同じ吉川の光景が広がっていた。
コンクリートの床。
壁に沿うようにして、"コ"の字に設置されているカウンター。
飾りっ気の無い軽少なイスに座って、
数人の客が「ズルズルムシャムシャ」と音を立てている。
けれども、カウンターの中にいる店員さんの顔ぶれは、
まったく違っていて驚いた。
前に居た30代ぐらいの男性と、
他のおばちゃん数人は居なくなっていて、
その代わりに若い男性が2人。
以前から居る白髪の年配の男性だけが、そのままだ。
<たしかに考えてみれば、
休業前にもあの男性が麺を切っているのを見たことがある気がするんだけど、
元々、吉川の店主はあの人だったのかな・・・!>
30代ぐらいの男性、それが吉川の店主だと無意識に思い込んでいたため、
"新生・吉川"の情報が一気に脳内ハードディスクに再インストールされて、一瞬、混乱しながらも、
営業が再開されたら絶対に食べたいと思っていたブツを、上方に掛けられたメニューから探す。
<メニュー・・・変わってないといいけど・・・!>
店員さんがほぼ総入れ替えとなっていたため、
いささか心配したけれど、それは休業前と同じ位置にバッチリ掛けられていた。
<あった・・・見つけたっ・・・!>
前に来たとき、「次はコレだ!」と決めていたのに、吉川長期休業の話を聞いて、
もうあれは永遠に食べることが出来ないんじゃないかと、寂しい気分になった。
いつでも食べられると安易に考えていたソレは一気に霞み、
まるで、砂漠の向こうに、蜃気楼だと分かっているオアシスを見ているみたいな気分になった。
でも、そんなことは過去の話で、
今、現実に、間違いなく、私は砂漠を抜けてオアシスに辿り着いたのだと確信した。
<見ろよ俺・・・!
コレだよコレっ・・・!>
コイツが俺の希求の一杯っ・・・!
『ピリ辛鳥ぶっかけ・冷(特盛) & ちく天』
鳥っ・・・鳥っ・・・!
バードっ・・・バードっ・・・バードっ・・・!
<逢いたかったよ、ピリ辛鳥よぉ・・・!>
心から渇望し、食べたいと思っていた「ピリ辛鳥ぶっかけ」に、
ようやく出逢えた感動に、ひとしきり浸った私は、とても低い声で小さく呟いた。
「今スグ食べてあげるね・・・」
醤油うどんと同じくセルフシステムになっている大根をガリガリと摩り下ろし、
上から出汁をぶっかけ、白い麺をワシッと箸で掴み上げる!
<相変わらずの細麺・・・!
そして相変わらず不揃い・・・!
ツヤツヤしていて瑞々しい・・・!>
表面にツルッとした歯触り。
細麺独特の食べ易さで、ガツガツと喰える。
そして、この一杯においては、
麺よりも注目度が高いピリ辛鳥に手を伸ばす。
<おおっ・・・ホントにピリ辛だ・・・!>
タレがかかっていて、そのタレ自体は甘く感じるのだけれど、
塗されている唐辛子、それを噛むとピリッと刺激が来る、正に『ピリ辛』
肉質は固めなのだけれど、
固いことが、逆に元々柔らかめである吉川の麺との食感の対比を生み出していて、食べ飽きない。
<なにせ大きいのはタレが果たす役割だな・・・!
タレが先頭打者とクリーンナップを繋ぐ2番バッターみたいに、
上手く鳥と麺を繋いでいる・・・!>
黙々と食べ進む私の斜め後ろに座る
子連れのお母さんが、小さな女の子に声を掛ける。
「いっぱい食べるねぇ、おうどん好きやもんねぇ」
それを背中で微笑ましく聞きながら、
復活した"吉川アルデンテ"を噛み締めた。
◆ 手打うどん 吉川
(高知県香南市野市町西野1523)
営業時間/11時~15時
定休日/月曜日(月曜が祝祭日の場合はその翌日)
営業形態/セルフ
駐車場/10台
(ピリ辛鳥ぶっかけうどん460円、醤油うどん280円、武蔵野風肉汁うどん500円、
[大は100円増、特大は200円増]ちく天100円など)
『手打うどん吉川』の場所はココっ・・・!