前編はコチラっ・・・!
『セルフうどん 麦笑(むぎわら) 前編/進め!うどん農民!』
噂の新店。
対峙。
<看板の字体・・・!
尖ってる・・・!>
ドアノブをギュッと握って引く。
店の奥へと向かった私を、
口髭を生やした男性が呼び止める。
「あぁっ・・・コチラで注文お願いします・・・!」
<しまった・・・行き過ぎた・・・!
セルフ店だということは事前に知っていたのに、思わず奥に行ってしまった・・・!
恥ずかしい・・・百戦錬磨のこの俺が・・・トーシロレベルの失策っ・・・!>
予めセルフだと知っていてのオーバーラン・・・!
何をやっているんだ・・・!俺は・・・!
<ミスっ・・・ミスっ・・・!
言い訳の"い"の字も通用しないほどの痛恨ミステイク・・・!>
俺は何回うどん屋に行ってんだ・・・!
めくるめく自己嫌悪。
だが、落ち込むばかりでは仕方が無い。
<取り戻さなきゃ、自分のペース・・・!>
うどんを食べるベテランであるこの俺が・・・!
一週間前に出来たばかりの新店に、手玉に取られてなるものかっ・・・!
俺は・・・俺は・・・!
誰よりもうどんを上手くお箸で挟むことが出来るんだっ・・・!
壁にかかる木札に書かれたメニュー、
セルフカウンター越しに、見やる。
<釜バターがある・・・!>
体が反応、即座に反応。
投げ込まれた初球ストライクを打ち返すみたいにして、
店主と思われる髭の男性に注文する。
「釜バター・・・!」
「少しお時間がかかりますが・・・!
出来たらお席までお持ちしますので・・・!」
時間はかかってもまったく問題なかった。
時間があるからうどん屋に来ているのだ。
けれど、店主が時間がかかる旨を私に伝え終わるまでのわずかな間に、
私はさらに別の"モノ"を見つけてしまって、オーダー変更。
「や・・・やっぱり醤油うどんで・・・!」
「ちょっと待っていただけたら釜バター出来ますけど・・・!」
なぜか私に釜バターを食べさせたい雰囲気の店主。
けれども、一旦、動き始めた醤油への運命の歯車は止められない。
「しょしょしょ・・・醤油で・・・!」
「1玉でよろしいですか?」
「い・・・うぃ・・いや・・・2玉で・・・!」
「2玉ですね?」
「うぃ・・・うぃ・・・!」
まるでフレンチな受け答え。
どうも、フランス人です。
ホントは3玉イキたかったけれど、
メニューには"1玉"と"2玉"の記載しか無かったから、
『メニューの枠組みの中で勝負する』という自分の鉄則を守った。
うどんが入った器を受け取って、
おそらく高知で一番短いと思われるセルフレーンを右へ進行。
眼前に広がるトッピングパラダイス。
<アジフリャーや・・・!アジフリャーがある・・・!
そうなんだよ・・・俺は3日前から無性にアジフリャーが食べたかったんだよ・・・!>
皿にアジフリャーこと、
アジフライを乗せて、さらに右へ。
レジだ。
お姉さんだ。
美人だ。
<店主の奥方かっ・・・!
髭の店主・・・羨ましいぞコノヤロウ・・・!>
などと他愛も無いことを思いながら、
お金を払って奥の席へ。
『しょうゆ(2玉) & アジフライ』
<綺麗だ・・・白い麺線が魅せる曲線美・・・!
眠りたいっ・・・このうどんに包まれて眠りたい・・・!>
卓上にあった生姜、
それから出汁醤油を回し掛けて掴み上げる。
麺線ビシッ・・・!
<揃ってやがるっ・・・!>
クニュッと入ってムチッと返す・・・!
クニュムチの食感・・・感覚・・・!
<場所柄や営業形態を考えると・・・!
この万人ウケしそうなセッティングは、吉と出そうな気がする・・・!>
アジフライがまたイイッ・・・!
<すっかり冷めてはいるけれど・・・!
それが逆に、子供の頃一人で留守番している昼間に、
母親が作ってくれた前の晩の残り物のアジフライを食べて、
あぁ美味しいなってシンミリ思った、あの懐かしい感じが蘇ってきて、
なんだか・・・!涙が・・・!>
まぁ、ウチのオカン、
アジフライ作ってくれたこと無いけど。
『かけうどん(2玉) & ちく天』
かけ出汁はイリコだろうか、
分からないけれど、魚の香りを強く感じた。
返却口に食器を返して、麦笑を後にする。
「ありがとうございました!」
と軽くお辞儀をしてくれながら、微笑む髭の店主。
うどんも素敵だったけれど、
店主のその笑顔が一番素敵で、なんだか心が温まった。
◆ セルフうどん 麦笑
(高知県高知市本町2丁目)
営業時間/11時~15時
定休日/今のところ無休とのこと(3月24日時点での話)
営業形態/セルフ
駐車場/無
(しょうゆ2玉400円、かけ2玉380円、[1玉の場合は100円安くなる] ちく天100円、アジフライ80円など)
『麦笑』の場所はココ・・・!