閉店まで1ヵ月を切った!「ぎゅうせん」

2015.01.05

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閉店まで1ヵ月を切った!「ぎゅうせん」

2015.01.05

私は一人で知らないうどん屋に入れるが、
知らない飲み屋には入れない。

私は一人で知らないラーメン屋に入れるが、
知らない飲み屋には入れない。

一人で街で飲むときは、
いつも馴染みのBARにしか行かない。

知らない人だらけの空間で、
知らない人と話すのがイヤなんだ。

だけど、放って置かれるのもイヤなんだ。

私は……………。

コミュ障……!

夜の街

馴染みのBARが閉まると、もう行く店がなかった。
まだ飲み足りなくても、行ける店がなかった。

一人で歩く深夜の飲み屋街。
通りのスナックから漏れる、カラオケを歌うおじさんの声。
楽しげに響く軽快な手拍子。

寂しい……!
俺は孤独………!

一応、友達だってたぶんいるし、家に帰れば家族もいる。

でも………。

いまの俺は…………。

絶望的に孤独…!

コミュ力が欲しい……。
度胸が欲しい……。

でもダメっ………!
知らない人……!怖いっ……!

そんな私にとって、
『ぎゅうせん』はパラダイスだった。

24時間ずっと開いていて、朝まで飲める。一人で。
一人で飲めて、ずっと誰とも話さなくていい。

放って置かれても大丈夫な空気。
ノスタルジックな空間。

カウンターに突っ伏して、数名の客がイビキをかいて寝ているのが日常。

おおよそのリア充は行きたがらない世界…!
それが『ぎゅうせん』……!

『ぎゅうせん』は私のパラダイスだった。

その『ぎゅうせん』が、2015年1月31日で閉店してしまうというのだ。

きっと大人の事情があるのだろう。

私だって子供じゃない。
現実を受け入れられず、泣き喚いたりはしない。

世の中のおおよそは、
仕方のないことばかりなのだ。

私は見届ける……。
数々の酔っ払いを寝かせてきた『ぎゅうせん』の最期を。

行こう……!
食べ納めの向こう側へ……!

ぎゅうせん

年始の夜……!
正月早々…のこのこ入店…!

(画像では完全に夜が明けているが気にしない!)

対峙する入口の券売機。

<お前とも…長い付き合いだったな……>
いつしか私たちのあいだには友情さえ芽生えていた。

無言で食券を買い、
「これ…すいません…」
と多少は言葉を発しながら店員さんに食券を渡す。

それからセルフサービスのおでんを取って、カウンター席に腰を下ろす。

ぎゅうせん1

はっはっはっ……!
また牛すじを多めに取ってしまったぞっ!

牛すじを一口……!
串に刺したまま咥えて……!
生ビールを流し込むっ……!

瞬間………!
全身を駆け巡る電流……!

ぎゅうせん2

あぁっ……………!

平民の幸せっ……!!

ぎゅうせん3

肉を噛み締めていると、ラーメンが来た。

私が買った食券には、こう書かれていた。

「とんこつらーめん 490円」

ぎゅうせん4

昨今のラーメン高級化の時代に、
ワンコインにさえ満たない低価格。

「そりゃあんた、アレがどうでコレがどうだから安いんだよ」
と、人は言うだろう。

ぎゅうせん5

だがしかし、これがいい……!
この奇を衒っていない感じが、いい…!

それが偉い人にはわからんがですよ…!

どうってことない麺に、
どうってことないスープ…!

普通のメンマに、
普通のチャーシュー!

だからいいっ……!

攻めたコダワリの一杯を食べたいときもあれば、
攻める気さえない普通の一杯を食べたいときもある…!

ぎゅうせん7

閉店まであと少し。
思い出はまだ増える。