初めて食べたのは子供の頃だった。
当時、家では食べたことがない料理だった。
黄色い山を前に息を呑み、
その山をスプーンで切り裂いた。
すると褐色の餡がドロッと崩れ、
中から白いご飯が現れた。
「これ……
天津飯っていうんだ!」
平民の子にとって
衝撃的な料理だった。
料理全体が、
タマゴで覆われているのだ。
「タマゴは1日1個まで」
そんな我が家の常識を覆す、
贅沢な料理。
「美味しい……」
1口食べて思った。
「美味しい……」
2口食べて思った。
3口食べても4口食べても、
10口食べても天津飯は美味しかった。
そして私の中で、
新たな方程式が誕生した。
「天津飯=美味しい」
元々タマゴが好きだった私にとって、
天津飯は夢の食べ物のように思えた。
やがて私は大人になった。
うどんにトチ狂った。
それでも天津飯はよく食べる。
「鳳来があった!」
いままさに
『中華料理 鳳来』の前を
通りすぎる瞬間だった。
もう時間的に、
開いている店は少ない。
「よし!鳳来だ!」
車をUターンさせ、
店先の駐車場へ。
『中華料理 鳳来』
「なんか……
ラーメンが食べたいな…」
そう思いながら、
メニューを眺めていたとき、
漢字3文字に視線が釘付け。
天津飯…!
幼少期の記憶が蘇る。
10口食べても美味しい、
天津飯の記憶が……。
ここは天津飯……!
Aセットの天津飯で…!
俺は幼児に返りおおすっ!
降臨するっ…!
俺たちの天津飯…!!
『鳳来』のAセット。
その概要、天津飯にラーメン、
揚ギョウザのセット。
天津飯とラーメンは、
いずれもハーフサイズだ。
「早くしねぇと
麺が伸びるだ!」
注目の天津飯はさておき、
まずはラーメン。
いいんだよなぁっ…!
この中華って感じが…!
頭からかぶりたいっ…!
なんていうか…!
中華だなぁっ……!
中華な出汁が
攻めてくる!
鶏がらかな………。
いいや。
むしろ。
鶏群だ!
たぶん……!
鶏の出汁がいっぱい出てる…!
鳥よ!
鳥よ!
鳥たちよ!
鳥たちぃよぉぉおぉぉ!
一曲終わったところで!
再度………。
俺たちの天津飯っ…!
この餡!
このタマゴ!
このトロみ!
そうだ……!
お礼を言おう…!
感謝の念を顔面から放ち!
言うんだ………!
「ありがたいっ…!」
<もしかすると誰も…
俺の言っていることが……
わかんねぇかもしれねぇが……>
餡の中が……
タマゴスープなの…!
<細かく溶けたタマゴが…
餡の中にいっぱい……>
入っているのよ!
美味しいね……。
天津飯……美味しいね……。
「天津飯=美味しい」
◆ 中華料理 鳳来
(高知県高知市葛島1丁目9-53)
営業時間/11時~15時(OS14時30分)・17時~22時(OS21時30分)
定休日/月曜日
駐車場/有(店の周囲と電鉄線路を挟んで向かい側)
(天津メン740円、担々麺840円、半チャーハン[麺類+250円]、焼餃子420円、大盛250円増)
『中華料理鳳来』の場所はココっ・・・!