車を降りると、潮の香りがした。
「手打そば」と書かれたのぼりが店先で風に揺れている。
高知・香南市香我美町。国道55号線沿いにある菓子店『武市神栄堂』より一本裏手の路地に、手打ち蕎麦の店『乃なか(のなか)』は佇んでいた。
以前、高知市愛宕山で営業されていたお店である。
「移転」といっても、高知市愛宕山のお店は2012年末頃に閉められた模様で、香南市で再オープンするまでに4年ほどの月日が流れている。
高知市で営業していた当時から、ファンの多かった『乃なか』。復活を喜ばれているかたも多いのではないだろうか。
人口比で日本一蕎麦屋さんの少ない都道府県、高知県。
『乃なか』さんの香南市での再オープンは、高知・中東部の蕎麦好きにとっても朗報といえる。
乃なかはセルフシステム、食券制
『乃なか』は食券制、さらにセルフサービスとなっている。おおまかな流れは以下の通り。
- 券売機にて、食券を購入する。
- カウンターの向こう側にいる大将には、自動的に注文が伝わっているため、食券を渡す必要はない。
- 注文した蕎麦ができあがったら、大将が呼んでくれるので、カウンターへ取りに行く。
- 席で食べる。
- 食器返却。
- 退店
大将が一人で営業されているとのことで、そのようになっているようだが、食券制はコミュ障にありがたいシステムである。
乃なかの店内。
民家を一部改装して店舗にされているようで、カウンター席やテーブル席がある部屋とは別に、座敷がある。
座敷は、本当に民家の座敷!
「日本家屋の雰囲気が、なんだか落ち着く……」
乃なかのメニュー。
いろいろある!
温かい蕎麦!冷たい蕎麦!カレー南蛮もある……!
丼ものもある!
お酒もあるよ!
かけそば & 親子丼(小)
まずは「かけそば」と「親子丼」。ネギは別盛にされている。
「外食で蕎麦を食べるの、久しぶりだなぁ……」
湯気に乗って蕎麦つゆから、芳醇な香りが漂ってくる!
「当たり前だけど、うどんの出汁とはまた違う……!」
こんにちは!蕎麦ですよ!
蕎麦が、全身で、
「私は蕎麦です!」と言ってんだ!
脇に鎮座する!
蕎麦屋の親子丼!
「"蕎麦屋の親子丼"と聞くだけで、おいしそうだが……」
本当にうまい!
「すごく出汁が効いている……!」
和風の出汁……!
和の出汁が、嗅覚に……
"和"っとくる……!
「蕎麦を食べるのも久しぶりだけれど、こんなおいしい親子丼も久しぶりに食べた気がする……」
ここで、またひとつ伝説が証明された。
「蕎麦屋の親子丼はうまい。これは本当……!」
蕎麦は細め。
「ガシガシ噛まなくても飲める感じ!」
これは……
お年寄りにも安心して薦められる……!
「うどんだと、かたすぎて…十中八九入れ歯が外れる。そういう雰囲気のものがたまにあるけれど、乃なかの蕎麦なら心配ない……」
おもむきあるお部屋を眺めながら食べる、蕎麦。
素敵じゃありませんか!
つけ鴨せいろ
メニューに「乃なかお薦めの逸品」と書かれた、つけ蕎麦「つけ鴨せいろ」。
これもネギは別盛。
▲ 冷たい蕎麦が、涼しげに横たわっている。
温かい合鴨の……
濃厚なダシ汁でいただく!
いただくと……!
あああっ……!
喉越し爽快……!!
「だし汁が本当に濃厚だ!焦げ目を付けるように焼かれた白ネギがまたおいしい……」
鴨とネギ……!
いにしえより伝わる……
名コンビが力が存分に発揮っ……!!
ありがとう鴨!
ありがとうネギ!
そうやって両者にお礼を言いたくなる!
いただけることに感謝したい!
そして……
蕎麦と一緒に食べて言おう……!
渾身の洒落!
鴨よ!カモーん!
「そう言っといたら、大体楽しいんだよ!」
鴨!ネギ!蕎麦……!
みんなが仲よしっ……!
「細いからこそ、蕎麦の喉越しがいいなぁ。これが乃なかさんの蕎麦なのだなぁ……」
帰り際、優しく微笑んでくれる大将。
笑顔に人柄がにじみ出ているように思う。
「蕎麦もさることながら、大将が……」
素敵だ……!
「また来ます……!」
「手打そば」と書かれたのぼりが店先で風に揺れている。蕎麦を食べに"そば"においでよと揺れている。
乃なかの所在地、営業時間、定休日、駐車場。
所在地/高知県香南市香我美町岸本(地図)
【営業時間】
[平日・祝祭日]11:00~15:00(以降は予約制で営業)
[土曜・日曜]11:00~15:00、17:00~21:00(L.O.20:00)
定休日/月曜日、第2日曜日
駐車場/有(上記画像をご参考に。クリックすると拡大表示します)
一人行きやすさ/○ カウンター席あり
子連れ行きやすさ/◎ 座敷あり