昨秋のことだったか。
私は、香美市土佐山田町の国道195号線を、
所有する高級な軽自動車に乗って東に走っていた。
すると、右手に、
見慣れぬ赤い看板。
"ラーメン家ひろき"と書かれている。
<およよ・・・こんなところにラーメン屋が出来ておる・・・!
ククク・・・今度行ってやるぜ・・・!>
そう思ってから、
実際に行くまでには、月日が掛かった。
『ひろき』がある香美市土佐山田町という地域は、
『さかえ』 『まるしん』当時はまだ営業していた『やまいち』
さらに、老舗の『久五』と、うどん屋が強豪揃い。
『ひろき』に行こうとするたび、
吸い寄せられるのだ。
近隣のうどん屋に・・・!
ある日はこう・・・!
<な・・・なにか・・・さかえが呼んでいる気がする・・・!
や・・・やっぱり・・・今日はさかえに行こう・・・!>
そして、またある日はこう・・・!
<はっ・・・!なんだこれは・・・!
まるしんに向かって勝手にハンドルが動く・・・!
俺はそんなつもりじゃないのに・・・勝手に車が・・・!>
そんな、うどんに翻弄される日々の連続。
いつしか、季節は秋から冬へ。
気が付けば、梅の花咲く二月になっていた。
それは、シトシトと雨粒が落ちる寒い日だった。
私は、幾ばくかの迷いの後に決心した。
「今日は寒いから・・・ひろきっ・・・!」
『ひろき』がオープンしてから数ヶ月、
なかなか行けなくて抱えていた悶々とした想い。
ついにした決心の動機は、「寒いから」
人の心とは、
案外、単純なものである。
『ラーメン家 ひろき』
(エピソード2へ続く)
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