うどん小屋 一六八 エピソード2/特注

2012.03.06

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うどん小屋 一六八 エピソード2/特注

2012.03.06

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かくして竜一は、『一六八』と書いて"いろは"と読む、
南国市は岡豊町にある、未訪のうどん屋さんに到着した。

うどん小屋 一六八

『うどん小屋 一六八』

駐車場に敷き詰められた・・・!

石・・・石・・・!
イシッ・・・!

<すこぶる大量・・・!
その数・・・数十万・・・!
いや数百万はあっても・・・なんら不思議は無いっ・・・!>

圧倒的っ・・・!
石のお出迎え・・・!

<車のタイヤで石を踏みしめる・・・!
この感覚・・・!たまんねぇ・・・!>

ステアリングを通して・・・!

ジャリジャリ来るっ・・・!

一六八、
入口に攻撃力。

うどん小屋一六八 うえるかむ!

おいっ・・・!
なんだよこれっ・・・!

萌え指数上限突破!

入店っ・・・!

うどん小屋一六八 かわいい!

小奇麗で和風、落ち着いた雰囲気の小さな店内には、
11時の開店から間もない時間だったこともあってか、先客おらず。

そして、この時、
竜一に事前情報あり。

<一六八は天ぷらが美味いらしい・・・!>

現在、第二次醤油うどんブームが巻き起こっている竜一は、
見やったメニューから、単品のしょうゆうどんを早々に発見し、
二の矢で当然の如く、「しょうゆうどんと天ぷらのセット」を探すが、無い。

<天ぷらうどん・・・ぶっかけ天ぷら・・・!
かまあげ天ぷらに・・・湯だめ天ぷらだってあるのに・・・!>

しょうゆ天ぷらは無いっ・・・!

<ナゼだ・・・!
他のうどんと天ぷらのセット・・・それはあるのに・・・!
ナゼしょうゆだけ・・・天ぷらセットが無い・・・!>

その時、
竜一の脳内に浮かんだ、
ある種の考え。

書いてないだけだ・・・!

<きっと書いてないだけで・・・言えば出来るんだ・・・!
あるよね・・・あるよね・・・!そういうパターン・・・!>

注文を取りに歩み寄って来た、
お姉さん店員さんに発す。

「しょうゆ天ぷらって出来ますか・・・!?」

竜一のその一言に、
お姉さん、動き、止まる。

「ちょっとお待ちくださいね・・・!」

そう言い残して、カウンターの向こう側にある厨房に居る、
店主と女将さんだと思われる二人に聞きに行く、お姉さん。

審議・・・!

一六八・・・!
完全に審議っ・・・!

<なにっ・・・即可決じゃねぇっ・・・!
しょうゆうどんと天ぷらのセットを要求する客・・・!
そんな客よくいるだろうと思ったが・・・これはまさかのレアケースっ・・・!>

俺だけっ・・・!
そんなメンドクサイ客・・・俺だけ・・・!

程無くして、女将さんが、
カウンターの奥から顔を出して言う。

「普段はやってないんですけど・・・!
今は他にお客さんがおらんので特別に・・・!」

ぎゅえぇぇぇ・・・!
やっぱり普段はやってねぇのか・・・!

その後、竜一を襲う、
圧倒的、自己嫌悪。

落ち込む竜一先生

<すいません・・・すいません・・・すいません・・・!
竜一は・・・いつもはこんなワガママを言う人じゃないんです・・・!
おおつ製麺では・・・特大の有る無しさえも聞けなかったほどのチキンなんです・・・!>

なのに一六八さんでの・・・この局面・・・!
ナゼか突然沸いてきた勇気により・・・!
一見にも関わらず・・・しょうゆ天ぷらの有る無しを偉そうにも確認しやがるという暴挙・・・!

<ダメだっ・・・俺は本当にダメなヤツだ・・・!
いらんことを言いやがって・・・!あほっあほっ・・・俺のあほっ・・・!>

そんな竜一を余所に、
奥の厨房から軽快なリズムを刻んで響いてくる、天ぷらサウンド。

「カラッ・・・!
カラカラカラッ・・・!」

<うぅぅぅぅっ・・・ありがたいっ・・・ありがたいっ・・・!
こんな俺がワガママ言って頼んだ天ぷらを・・・!
大将自ら・・・!揚げてくれているっ・・・!>

音と共に自責の念は期待に変わり、
やがて食べたいという欲求へと繋がる。

<来るぜ・・・そろそろ・・・!
無理言って頼んだからには全力で喰う・・・!
ククク・・・!お楽しみはこれからさっ・・・!>

(エピソード3へ続く・・・!)
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