うどんの情報は、ほとんどインターネットのみで仕入れているが、
某・裏麺師さんが出ているということで買った、地元タウン情報誌「ほっとこうち6月号」
その"うどん特集"を読んでいて目に留まった一杯に、血が沸いた。
<タマゴにエビ・・・!
こんな仕様のうどん・・・食べたことがない・・・!>
食べたことがないから、食べたい。
自分がパエリアを食べたことがないから・・・!
というだけで、オフ会にて「パエリアコース」を発注したときと同じ気持ちだった。
<えび玉うどんというのか・・・!
おぉぉ・・・それも"ちっ子亭"・・・!
・・・去年一度行ったっきりだな・・・!>
こういうときは行動が早い。
数日後には、所有する高級な軽自動車のハンドルを握って、
高知市、天王ニュータウンにある、ちっ子亭へ向かっていた。
<クスクス・・・!
待っててね・・・!ちっ子ちゃん・・・!>
いまボクが食べてあげるからね・・・。
(超低い声)
『うどん食堂 ちっ子亭』
店の前に車を停めて、コンクリートの地面を踏みしめた。
数ヶ月ぶりだったけれど、数ヶ月ぶりという感じがしなかった。
3日ぐらい前に来たような、妙な感覚がしたのは、
たぶん土佐市や佐川、四万十方面など、いわゆる"西攻め"をする際に、
この店の様子を確認するため、意図的に前を通るようにしていたからかもしれない。
半セルフ。
入って真っ直ぐレジのほうへ向かって、先に注文。
「えび玉うどんとぉ・・・!
・・・!デミグラスうどん・・・!」
デミグラスっ・・・!!
この局面・・・勝負・・・!
変り種・・・両サイドアタックっ・・・!
<前回が・・・!かけと醤油・・・!
極めてシンプルな攻撃だったからこそ・・・今回は曲げてやったさっ・・・!>
注文を受けた女将さん(?)も、その奥の厨房にいる大将も、
このオーダーには驚いただろうな、と思った。
<デミグラスうどんのオーダーはあまり出ないだろう・・・!
出ないからビックリだろう・・・!えび玉ならまだしもだ・・・!>
デミグラスだぜ・・・!デミグラスっ・・・!
<並みのうどん馬鹿はまず注文しない・・・!
真正の馬鹿じゃなきゃっ・・・!!>
やんやーーーん・・・!
出ちゃいましたよ、デミグラスーーー!!
しかし女将さん動じず。いたって冷静に注文を通す。
大将も軽く流している。
<あれっ・・・おかしい・・・!
珍しく出たデミグラス発注に・・・!
店側動揺の光景が・・・俺の中に浮かんでいたのに・・・!>
世の中そんなものか・・・と椅子に腰を下ろして、
うどんの出来上がりを大人しく待つ。
お昼時が近付いて、徐々に客が増えていく店内。
まだまだ一見さんが多いのか、
半セルフのシステムを理解してなくて、
戸惑っている人の姿も見受けられる。
しばらくして、まずは「ほっとこうち」で見た、ねんがんの一杯、光臨。
『えび玉うどん』
出汁に溶かれしタマゴ。
その黄色がかった泉に白い麺が沈み、
上にエビ天が一本、ドン!鎮座・・・!
相変わらず、少し太めに感じる麺。
それを噛み締めたのちに、エビ天モグモグ。
<ふぉっ・・・きたぁっ・・・!
ブリンブリンエビの大胆ショットっ・・・!>
なぜ、これほどまでに、
うどんにエビ天が合うのか、だ。
それから再度、麺を食べて、
シコシコを噛み締めて・・・次順、出汁・・・ゴクゴク。
<ごぎゅっ・・・ふぉっ・・・!
ぬぬ・・・"出汁"と言うよりも・・・よもやこれは"スープ"だな・・・!
タマゴスープ・・・そう・・・タマゴスープを、少しだけうどん寄りにしたみたいな雰囲気・・・!>
うどんを食べているようで、
うどんではないものを食べているような、不思議な感覚。
これが、えび玉の世界っ・・・!
『デミグラスうどん』
<これが去年初めて訪ねたときから気になっていた、未曾有のアグレッシブうどん・・・!
片時も忘れたことなどなかったさ・・・!お前を喰わずに死ねるかとさえ思っていた・・・!>
中央に生卵。
その周囲に天カスと肉が座り、
ネギが散りばめられた光景は、まるで銀河。
銀河系うどんっ・・・!
<高知県内各所にいくつかある銀河系うどん・・・!
それに仲間入り・・・つまりキミは今日から銀河系軍団さっ・・・!>
デミグラスソースの味が強いことから、
どうしても麺の味が消されがちではあるけれど、
それでも噛めば、小麦の香りがデミグラスの密林を掻き分けるように、獰猛に主張してくる・・・!
さらに生卵を絡ませながら食べると、
全体的にまろやかになって、優しくなる。
<まるで洋食を食べているみたいだ・・・!
なんだか楽しい・・・!うどんは・・・こうもなれるのか・・・!>
二度目の「ちっ子亭」で、いわゆる"亜種系"二種。
それを食べて開けた、新たなるうどんの世界・・・新世界。
宇宙みたいに無限に広がる世界に飲み込まれながら、私はうどんを食べている。
◆ うどん食堂 ちっ子亭
(高知県吾川郡いの町天王北3丁目1-12)
営業時間/10時30~14時30分
定休日/月曜・火曜・祝日
営業形態/半セルフ(注文→支払→席で待機→うどん運ばれて来る→食べたら帰って良し)
駐車場/4台
(えび玉うどん550円、デミグラスうどん800円、しょうゆ300円、かけ230円、大100円増、かき揚げ70円など)
『うどん食堂ちっ子亭』の場所はココ・・・!