植えてから収穫するまで、
地中にいて見ることのなかった生姜を、
ウンザリするほど見た激闘の30日が終わった。
収穫期間中も毎日晩酌して、
肝臓のトレーニングはシッカリ行っていたけれど、
もう長い間うどんは食べていなかった。
<ついに・・・ついに・・・
うどんを食べれる日がまた・・・!>
楽しみにしていた「水曜会」で
ヘベレケになった翌日・・・。
うどん、解禁・・・!
『うどん倶楽部 秀』
<初めてのお店・・・!
どんな風に襲い掛かってくるやら・・・わからない・・・!
万全の態勢で望まなければ・・・!>
慎重に・・・慎重に・・・中へ入る。
すると、すぐさまお店の人たちに発見されて、
次から次へと「いらっしゃいませ!」の嵐。
<すごい・・・!
俺・・・歓迎されてる・・・!>
入口から奥へ、縦に長く伸びるセルフレーンが右側にある。
その一番手前、つまり入って2歩進んだ地点で、
男性店員さんがカウンター越しに真剣な表情して言う。
「ご注文!ここでお伺いします!」
<えっ・・・注文っ・・・!
しまった・・・相手の出方を意識するあまり・・・!
注文をあらかた決めてから入るという、セルフの基本を忘れていた・・・!>
カウンター上部に掲げられたメニューを見上げると、
「かけ」と「醤油」の文字が目に入った。
・・・決断するのに時間はかからなかった。
<寒いから・・・かけ・・・!
かけで・・・!勝負っ・・・!>
とにかく初めてのお店で勝手がわからなくて、
「かけの大で!」と注文したあと、私はいたって挙動不審だった。
<すぐそこにトッピングがあるんだけど・・・!
これって・・・うどんを渡されてから取るべきなのか・・・!
それとも、お店の人がうどんを拵えている今この瞬間に取るべきなのか・・・!>
迷った。
しかし、カウンター越しに見ると、
まだ男性店員さんが温めた白い麺を器に移している最中だったので・・・。
<これから出汁を入れるのならば・・・!
トッピングを先取りにしたほうが・・・!
お店にとっても客にとっても効率がいい・・・!>
と、熟練のうどん野郎ならではの的確な判断で、
トッピングの先取りを決断。
私はアタフタと目を泳がせながら、
積まれていた皿を一枚取り、トングで唐揚げを1個挟んで、
皿にコロッ!と乗せた。
それから出来あがった「かけうどん」を渡してもらって、
一番奥にあるレジへ、死に物狂いで向かったはいいけれど、
器の中にネギなどの"薬味"が入っていないことに気が付いた。
<薬味が無いっ・・・!
レジの前にも無い・・・もしかして・・・!
俺・・・取り忘れてレジへ到達したのか・・・!>
この長いセルフレーンのどこかで取り忘れていたとすれば・・・!
禁断のセルフレーン逆走っ・・・!やるハメになるぞっ・・・!
もはや半泣きだった。
しかし、そのときレジのお姉さんが発す。
「薬味は後ろにありますので、ご自由にどうぞ!☆」
<なにっ・・・後ろっ・・・!>
見ると、たしかに後ろに、緑や黄色。
容器に入れられたネギや生姜が見える。
<うわぁぁぁ・・・大感動っ・・・!
お姉さんすごい・・・まるで俺の心の内を読んでいたかのように・・・!
薬味の位置を示された・・・!>
ネギを、たっぷり。
生姜をちょっぴり乗せて、セルフレーンの向かいに2本伸びるカウンターの、
壁側のほうの隅っこの席に腰を下ろした!
『かけうどん(大) & からあげ』
<いやぁ・・・出汁の香りがブンブンくるっ・・・!>
麺!プニプニ!
12時台に突入して昼時を迎えた店内。
食べていると、次から次へとお客さんが入ってくる。
「かけの大で!」
「かけの大で!」
「かけの大で!」
寒い日だったからだろうか。
来る人全員が「かけの大」だった。
そして、全員が男性の一人客だった。
麺を一通り片付けて、
出汁を飲む。
<くぅぅぅ・・・熱い・・・熱い・・・!
体がっ・・・!骨がっ・・・!
燃えるように熱いっ・・・!>
全身を駆け巡る灼熱の業火・・・!
<この熱さ・・・!
出汁の温度だけじゃない・・・!
1ヶ月ぶりのうどんに・・・!>
魂が沸いてんだっ・・・!
うどん・・・それは食べれば食べるほど欲しくなる、魔物。
<あぁっ・・・!
欲しい・・・いっぱい欲しい・・・!>
せっかく1ヶ月間、うどんを抜いて療養したのに、
また私はうどんの沼の中に引きずり込まれて行くのだった・・・!
◆ うどん倶楽部 秀
(高知県高知市堺町2-6)
営業時間/11時~14時30分
定休日/土、日、祝
営業形態/セルフ(丸亀方式)
駐車場/店舗前に2台分
(かけうどん大350円、からあげ50円)
「うどん倶楽部秀」の場所はココ・・・!