<いったいここはどこなんだろう・・・>
「釜揚げうどん遊」へ行ったあと、私は道に迷っていた。
<おいおい・・・獣道じゃないか・・・!
対向車が来たら当たる・・・正面からぶつかるしかないッ・・・!>
"「遊」からならば、愛媛なんて目と鼻の先・・・だろ?"
なんて出来心で愛媛県を目指したのが仇。
<いったいここはどこなんだろう・・・
うどん屋が1軒もない・・・ラーメン屋すらない・・・
俺は・・・帰れるのか・・・この辺境の地から・・・>
引き返そうにもUターンすらできそうにないので、
仕方なくしばらく走っていると、唐突に道の駅が現れた。
「きりのもり・・・」
と私は道路標識に書かれた字を小さく声に出して読んだ。
川の向こう側に道の駅本体があって、
私がいる側にはトイレと駐車場があった。
<変わった造りの道の駅だな、向こう側にも駐車場が見える・・・
でも向こう側にはどこから行けばいいんだろ・・・>
目の前に橋があったけれど、それは車が通行できるような橋ではなかった。
<まぁ、いいや・・・>
と私は思った。<なんか寒いし早く帰りたい・・・>
それから私は高級な軽自動車のハンドルを握って適当に走った。
すると近くに高速道路のインターチェンジがあった。
<こんな山の中に高速道路がッ・・・!>
と私は驚いた。
「新宮」という名前のインターチェンジだった。
<高速に乗れば迷うこともない・・・!
高知へ絶対に帰れる・・・この局面!乗るしかないッ・・・!>
私に選択の余地はなかった。当然もう愛媛行きは諦めている。
私は即座に高速道路に乗って高知方面を目指した。
高速道路、さすが!早い!
わけがわからない内に「高知県」と書かれた看板の横を通過して、
我がホーム、高知県へ進入した。
だが、それにしても、
数時間にわたって獣道を走ったせいで、体が酷く疲れていた。
そこで途中にあった「立川PA」で休憩をとることにした。
「立川PA」で温かいコーヒーを飲んでいると、
『いのししコロッケ』という謎のコロッケを
オバチャンが売っているのが目に入った。
<これは他じゃなかなか食べれそうにない一品・・・!>
私はそれを買って食べてみることにした。
「いまから揚げるきねぇ、ちょっと待ちよってや!」
とオバチャンは土佐弁で言った。
「ハァイ!」
と私はハワイアンな感じで応えた。
5~6分ほど待った。
「お待たせ!」
とオバチャンは土佐弁の発音で言いながら、コチラを見た。
揚げたてのコロッケをオバチャンから受け取る。
「熱いき、気を付けてねぇ!」
とオバチャンは土佐弁の発音で言った。
「ハァイ!」
と私はハワイアンな感じで応えて、高級な軽自動車の車内へコロッケと共に去った。
車内で食べるコロッケの衣は「サクサク」と音を奏でて、山の香りを漂わせる。
私はそれを平らげて家路に着いた。