『そば処・吉野家』で『肉あんかけつけそば』を食べたときの話だ。
蕎麦だけではお腹が張らないと考えた私は「牛丼セット」を注文しようとした。
しかし吉野家の店員さんは、他の蕎麦は牛丼セットにできるが「肉あんかけつけそば」はできないと言った。
ええっ!なんで!どうして!
どういう理屈だよぉぉぉっ…!
肉あんかけつけそばだけ…牛丼セット不能…うそぉーん!うそぉーん!
大人の事情があるのだろうが、悲しい。
全俺の心が悲しみに満ちた。
そんなに牛丼が食べたいのなら、蕎麦と別に単品で牛丼を注文すればいい。
たしかにそう。でもそれだとセットにするよりも金額が高くなる。
肉あんかけつけそばを頼んだばっかりに、セットを拒否された挙句、余分なマネーを払わされるなんて…受け入れ難い現実だ。
ゼッタイに頼まないからな!
単品の牛丼なんて、ゼッタイに頼まないからな!吉野家め!
結局、肉あんかけつけそばだけ食べて、今日はこれぐらいにしといたるわ!と吉本新喜劇みたいな捨て台詞を吐いて帰ったのだった。
だが数日後。
発作起きる。
牛丼が食べたい……!
あのとき食べれなかった牛丼うぉぉぉぉぉっ…!
てなわけで。
『ぎゅうせん』
『吉野家』ではなく、高知市帯屋町の『ぎゅうせん』にきたのに深い理由はない。
「ムシャクシャしていた…牛丼ならなんでもよかった…」
『牛丼(並)+生卵』
<考えてみれば俺…ぎゅうせん結構きてるな…今年に入ってからだけでも…もう何度目だろう…>
回遊魚のようにアッチコッチ行かなければならない関係で、お気に入りのうどん屋でも年間数回しか行けていないのに、ぎゅうせんはかなりきている。
店に入ってから出るまで、一言も喋らなくていい食券制。
だからコミュ障でも気軽に入れる。
声を発しなければ、ドモることもない。
大きな声が出せなくても、出す必要すらない。
とある香川のセルフうどん屋に行った際。
店内の貼り紙に「注文は大きな声で!」と強い口調で書かれていて、人生最大級のプレッシャーを受けたものだが、ぎゅうせんではそのような心配は一切ない!
ありがとう!ありがとう!ぎゅうせん!
ぎゅうせんの牛丼!このドス黒いビジュアルが堪らない!
おかげでしばらく牛丼は食べなくてもいいかな、ぐらいに満足した。