そば処 吉野家 イオンモール高知店は閉店されました。
台所でコスプレをしていると、いきなり輪投げがしたくなった。輪投げには輪が必要だ。
おわかりいただけるだろうか。
輪を買わなければならない。
しかしいったいどんな輪があるのかわからないので、私は高知一のホットスポット『イオンモール高知』で輪を物色することにした。
<黄色いのがいい…輪投げの輪…黄色いのがいいっ…!>
輪を置いていそうな店をバシバシ見学して広いモール内を歩き回っていると、お腹が空いてきた。
行こう……!
俺たちのフードコートへっ…!!
『そば処 吉野家
イオンモール高知店』
ふと視線を移すと、そこにあったのは吉野家だった。
といっても通常の吉野家とは違い、蕎麦を提供するパティーンの吉野家だ。
初めてだから優しくして欲しかった。
でもメニューがよくわからなかった。
そこで私は店先のメニューを2時間ほど拝見して思い悩んだ。
『肉あんかけつけそば』
最終的に注文したのは、冬期限定メニュー。
<限定…それはつまり次いつ来るか来ないかわからないような機会…千載一遇の大チャンス…!そんなチャンスが目の前に転がってんだ…!そりゃ拾うさ…拾うに決まってるさ…!滑り込んででも拾うのが…後悔しない人生ってもんだろうっっっ…!!>
「十割そば」なんだって。
全盛期のイチローでも三割ソコソコの打率だったのに、十割とはすごい。
全打席、ヒット!ヒット!ホームラン!というわけだ。
蕎麦だけに、打ちまくりだね。
つけ汁の中で黄色く光る、それは柚子の皮。
<黄色い…!黄色いのが…イイッ…!>
丸い器に入れられている。
輪投げの輪みたいだ、と思った。
だがこれは輪投げの輪ではないので投げてはいけない。
ソバロ…!
いっきまーす…!
打率十割の蕎麦がお口の中を駆け抜ける。
駆け抜けて突き抜けるフレバー。香ばしい蕎麦ージュ。鈴木杏樹。
感じのよい毛布みたいに、やわらかな豚バラ肉。
口に含むと豚肉の味がした。
つけ汁がどうにも単調な世界を作り出している中で、柚子がガツンとアクセント…!
馬路村だけじゃない。
柚子は、世界を支えている。
世界的に有名なロックバンドは、U2(ユートゥー)。
この黄色いのは、柚子(ユーズゥー)。
俺たちのフードコートで蕎麦を食べながら、ワールドワイドな思いに耽った有意義な午後。そして私は再び輪投げの輪を物色しに行くのだった。