「アテイらぁが若い時分にゃ、卵は、うんとたこう(とても高くて)てねぇ…なかなか買えざったぞね」
亡くなった曽祖母が、幼少期の私にそんな話をしてくれたことがある。
昔、鶏卵は高級食材だったのだ。
しかし現在の日本において、卵は気軽に買える食材であり、気軽に食べれる食材だ。
だったら………。
卵をいっぱい食べようではありませんか!
卵から日本を変えていこうではありませんかっ!
日本……!?
いや………。
俺は卵で世界を変える…。
割ろう……!
いまこそ……!
世界中の卵をっ…!!
(この物語は、卵に目覚めた農民・竜一が卵を次から次へと割っていく、歴史的感動サスペンスである!)
『麺房 三宅』
卵だったら誰でもよかった…とは言わない。旨い卵が食べたかった私は、旨い卵がありそうな店『麺房三宅』にやってきた。
<何気に2011年末以来っ…!圧倒的ご無沙汰ッッッ…!>
14時半という昼どきを大きく外した時間。だが、さすがは高知屈指の人気店。駐車場には車、大量、ほぼ満車。
入店。
店内、凄まじい活気。
他の高知のうどん屋にはなかなかないような、躍動感。
阪神甲子園球場みたいだ。
甲子園の阪神戦にいくと、新井貴がバッターボックスに入ったときなど「あるるるあぁぁぁうぃぃぃ!」と阪神ファンの方々が壮絶な巻き舌で応援されているが、あれくらいの力強さが店中に溢れている。
人気店の圧倒的元気に、ややビビッていることはおくびにも出さず、私はポーカーフェイスで注文した。
ドラフト1位で指名するは、もちろん…卵のうどん。
『釜玉うどん(大盛)』
<うおぉぉぉっ…!カッコイイ…!>
うどんは大きく分けて、可愛い系、美系などあるが、三宅の釜玉は間違いなくカッコイイ系。オーラが違う。
とくに、デフォルトで載せられている大根おろしの位置がカッコイイ。
ここに載っているのかっ!という絶妙なカッコよさだ。
脇には生姜とネギ。惜しい!大根おろしが赤ければ信号機カラーだったのに!…でも信号機じゃなくてもいい!カッコイイからいいっ!
カウンター席。
卓上に置かれた器から、天カスを載せる。
口に含んだ瞬間…きたっ…!弾力ドキューン…!炸裂する…三宅のアルデンテっ…!
以前は独特のプリプリ食感だったと記憶にあるが、今回それとは違い、シコシコとした食感に感じる。
<プリプリ系からのーーー!シコシコ系っ…!それでいてカッコイイっ……!なんだかキムタクみたいじゃないかっ…!>
目の前の大きな釜。それに長い棒を突っ込んで湯をかき混ぜている、大将の後ろ姿が見える。
<カッコイイ…!釜玉もカッコイイけど…大将もカッコイイ…!>
せっかくなので『とり天あんかけうどん(中盛)』も食べる。
<卵が先か…ニワトリが先か…!そんなことは知らない…!ただ俺は…両方食べるっ…!>
あんかけに、おろし生姜がたくさん入っていて温まる!
卵のうどんも食べれて、返す刀で『とり天あんかけ』も食べれて…。
ありがたいっ…!
ありがた過ぎて益々ビビり、全体的にオドオドしながら会計を済ませ、店をあとにした。
(この物語!あと何回か続く!)
『EP2を読む』
◆ 麺房 三宅
(高知県高知市伊勢崎町5-18)
営業時間/11:00~16:00
定休日/水曜日、月1回火曜日
営業形態/一般店
駐車場/店舗向かい側に有