高知の麺狂を、取り返しの付かない麺狂にするために、
地元情報誌『ほっとこうち』が先日発行した『高知麺本』
<掲載されているのは知っている店ばかりだし・・・!
別に買うほどのことはねぇかな・・・!>
当初、書店で立ち読みをしながらそう思っていたのだけれど、
そんな気持ちとは裏腹に、気が付いたら買っていたから、
人生とは摩訶不思議なものである。
その高知麺本。
高知の麺屋さんオールスター状態で、
様々なお店の至極の勝負麺が掲載されているのだけれど、
中でも一際目を引いたのが、『牛つけめん』だった。
名からは、ラーメンを思わせる。
が、掲載されている画像では、どう見てもうどん。
何処の店のメニューかと思いきや、
高知市中万々にある有名店『ゆたか』の作だった。
<ゆたか・・・!か・・・!
思えば2007年冬に・・・それこそほっとこうちでやっていた・・・!
うどんスタンプラリーで・・・一度行ったっきり行ってねぇなぁ・・・!>
4年半ぶりか・・・。
<美味しいのは美味しいんだけれど・・・!
俺のストライクゾーンの真ん中には来てねぇ・・・!
欲しい・・・魂が揺らぐほど・・・強烈に惹かれる何かが・・・!>
それが、ゆたかのうどんに対する、
4年半前の私の、正直な感想だった。
しかし、ここに来ての誘惑。
『牛つけめん』
<なんだよそれ・・・!どんなのだよ・・・!
そういう変化球メニュー・・・俺・・・結構好きなんですけど・・・!>
ゆたかと竜一。
長き日に渡って開いたディスタンスを乗り越えたきっかけ。
それは4年半前に『ゆたか』に行くきっかけを作ったのと同じ、
『ほっとこうち』だった・・・。
行こう・・・今・・・!
4年半の時を越えて・・・!
ゆたか・・・!
夢の向こう側へっ・・・!
『うどん処 ゆたか』
13時半を回る頃だっただろうか。
久し振りに見る『ゆたか』は、風格、趣を増しているように見えた。
入って左側にあるテーブル席には幾人かが座っていて、座れそうにも無かったから、
カウンターの正面に二組ある座敷席の一つに座った。
着席した・・・竜一・・・!
迷う・・・!迷う迷う・・・!
肉おろしと・・・迷う・・・!
<肉おろしも麺本に載っていて・・・!
すげぇ美味しそうだったんだよなぁ・・・!>
ゆたかに行った日は暑くて暑くて。
向かう途中の車内で、オーダーを牛つけめんから、
冷たい肉おろしに変更しようかと、実はずっと迷っていた。
だが・・・!
<いいや・・・いやいや・・・!
この局面は・・・初志貫徹・・・!
ここで攻めきらねぇと・・・男じゃねぇ・・・!>
ならば・・・!賭ける・・・!
牛つけめん・・・ゆたかの新メニューで・・・!
勝負だっ・・・!
(後編へ続く・・・!)
『うどん処 ゆたか 後編/喉越しのフットワーク』