前編はコチラっ・・・!
『うどん処 ゆたか 前編/名店までのディスタンス』
ゴニョゴニョと呟きながら、注文を決定した竜一。
カウンターの向こう側でせわしなく働く大将に発言する。
「すすすすすすす・・・すみません・・・!」
「はいっ・・・!」
「ぎ・・・ぎぎ・・・!
ぎゅうぅぅうぅううう・・・牛つけめん・・・!」
「はい・・・!牛つけめんですね・・・!」
前回来た時は、ちょうどお昼時で、
店内は満席状態でごった返していた。
それで、注文も従業員のおばちゃんにしたし、
顔を拝見することも儘(まま)ならなかった大将との初絡み。
大将の笑顔が素敵で、
恋に堕ちそうだった。
<だが・・・!恋愛とうどんは別物・・・!
うどんに私情は挟まねぇぜ・・・!大将・・・!>
などと、妄想と夢想の果てで錯乱していると、降臨した。
『牛つけめん』
うぉぉおおぉぉぉ・・・!
コイツがゆたかのニューウェーヴ・・・!
水で締められた冷たい麺・・・!
温かな・・・つけ汁・・・!
さらに・・・生卵・・・!
幻の大根おろし・・・!
(※ 幻の大根おろしは幻なので、画像には写っていません)
別盛りっ・・・!
<流石だ・・・!生卵が苦手な方にも・・・!
大根おろしが苦手な方にも・・・!
バッチリ対応する・・・心配り・・・配慮っ・・・!>
当然・・・竜一は両方大丈夫・・・!
豪快かつ繊細に・・・双方を投入・・・!
つけ汁の湖へっ・・・!
ドボーン・・・!
<融合だっ・・・!ラーメンのつけ麺文化と・・・!
ざるや釜揚げに見られる・・・うどんのつけ麺文化の・・・融合・・・!>
フュージョン・・・!!
誕生した・・・今・・・ここに・・・!
最強のつけ麺がっ・・・!!
その時、竜一。
4年半前の舌の記憶との相違に驚愕していた。
<こ・・・こんな感じだったか・・・ゆたかの麺・・・!
プニプニとした弾力・・・アルデンテ・・・!
そして・・・なにより・・・胃へツルンと滑り落ちる・・・!>
圧倒的・・・!
喉越しっ・・・!
自分の舌の記憶がどこまで確かなのかは疑問だけれど、
以前よりも明らかに喉越しの良さが増していて、
ガシガシと噛む麺ではなくて、噛まずとも飲み込める麺。
軽い。麺が軽やか。
暑い夏の日にもドンドンと食べられるような軽快さ。
俗に言う、『ゴム麺』とは対極に位置する麺に感じる。
非常に喉を通る感覚が良い。
ほんのりと温かく濃い色を放つ、つけ汁。
白く「キュン!」と冷えた麺。
温度差の対比と、色彩の明暗。
対極同士が、交わり合う。
歓喜・・・感動・・・感無量っ・・・!
<ゆたかが進化したのか・・・!
自分のうどんに対する好みが変わったのか・・・!
もしくはその両方か・・・!わかんねぇけど・・・!>
これは・・・!イイっ・・・!
他にはなかなか無い・・・感覚・・・器量・・・!
「トントントン・・・トントントン・・・!」
店内に響く音。
入口横に設けられた空間で、
白い勝負服を着た大将が、黙々と麺を切っている。
職人の後姿を眺め見やりながら食べる、牛つけめん。
麺が長くて、つけ汁を付けるのに四苦八苦。
しかし、箸で麺を折り畳むようにして挟むと上手くいくことに
途中から気が付いて、その後は順調に食べ進んだ。
牛の味が強く出たつけ汁は、
ラーメンのつけ麺によくあるみたいな濃厚な味で、
その濃厚さが好みを分けるかもしれないけれど、私は好き。
『とり天うどん』
柔らくフワフワに揚がったとり天。
スッキリとした味わいの出汁。
テーブルの上に、何気なく置かれた謎の調味料。
『こーれーぐーす』と書いてある。
<なんだろう・・・これ・・・!>
好奇心から、
つけ汁に「チャッチャ」と入れてみた竜一。
悶絶。
<ぐはぁぁぁぁぁっ・・・!
こ・・・こ・・こ・・これ・・・こ・・・れ・・・すげぇ・・・!
ぐへぇっ・・・!ぐへぇっ・・・!>
体感でタバスコの2万倍。
死線を彷徨うほどの恐ろしい辛さだった。
食べ終えて店を出る。
4年半ぶりのゆたかで一番強く思ったのは、
「手打ちうどんは、変化するものだ」ということ。
それぞれの店が日々研究を重ねながら打っているから、
同じ店のうどんでも、次に来店した時にはまたさらに進化しているというか・・・。
中には、退化してしまう場合もあるかもしれないけれど・・・。
今回、前回からの間隔が長く開いたこともあって、
それを、より強く感じた。
ゆたかを出た私に、夏の強い日射しが容赦なく照り付ける。
足早に車に乗り込んで、エアコンを作動させた。
◆ うどん処 ゆたか(高知市中万々)
営業時間/11時~15時(土日祝は19時まで営業)
定休日/月曜日(祝日の場合は翌日)
営業形態/一般店
駐車場/6台(店の南側)
(牛つけめん650円、とり天うどん650円など)
『うどん処ゆたか』の場所はココっ・・・!