「ぼ・・・ぼぼぼ・・・ボク・・・!
天ぷらが食べたいんだな・・・!」
発作的に感じたその想いが発端となって、
目指した高知市住宅街。
迷走。
何度も来たことがあるし、
まったく問題ないだろうと思っていた道順。
実際に、店の付近まで行ってみると、
久し振り過ぎて、自分の脳内の風景とは若干に変わっていて、
とどのつまり、ワケが分からなくなっていた・・・!
<近代化の波がここまで押し寄せたか・・・!
てゆーか・・・風景はそんなに変わっていない気も・・・!
うーん・・・近代化と言うよりも・・・俺の記憶が劣化しただけかもしれねぇ・・・!>
辺りを車でグルリグルリと回り、
三たび産業道路に出た時、ピンと来た。
<あぁ・・・!そうか・・・!
あの黄色い塗装のガソスタの裏の通りだったっけ・・・!>
正解。
着。
『麺房 三宅』
<いやぁ・・・!紐解けば1年数ヶ月ぶり・・・!
うむっ・・・!やっぱり1年数ヶ月分・・・!
コンクリート壁の灰色に重厚感が増しはったなぁ・・・!>
(この時、9月下旬)
一歩一歩、
店の入口へと歩む。
<あぁっ・・・もう・・・このね・・・!
店の前の道路・・・!アスファルト・・・!
コレ自体が足に吸い付くというか・・・もうなんかグリップ力が全然違う・・・!>
入口の前に立ち、
戸を左から右に引く。
「ガラガラ・・・!」
入店。
通常の店ならば、何の気なしに入っていくところだけれど、
ここは、"高知で最も穴場なようで穴場じゃない超有名店"、麺房三宅だ。
「失礼しますっ・・・!」
"胸を貸して頂く"という心構えで、
「いらっしゃいませ」に応える。
時刻は、土曜日の14時過ぎ。
ピーク時を過ぎて幾分空席が出来始めているけれど、正面のカウンターは満席。
後ろ側のカウンター席、
その向かって右端に座った。
<くっ・・・壁の左端のほうに掛けられているメニューを書いた木札が見えねぇ・・・!
たしか前に来たときも・・・!この辺りの席に座って・・・!
思えば・・・!その時も左端の木札を見ることは叶わなかった・・・!
一体どんなメニューがあるんだ・・・!左端に・・・!!>
もしかして・・・!
一番美味しいメニューが書かれていたりして・・・!
<もしそうだとしたら・・・後悔してもしきれねぇ・・・!
スッと立ち上がって・・・左端のメニューを見てやろうか・・・!>
いやぁ・・・でも・・・!
それって合法かよっ・・・!
一度座ったのに・・・また立ち上がるとか・・・!
そんなことしていいのかよっ・・・!!
<よくよく考えてみれば・・・俺は今までうどん屋で・・・!
一度座ってから・・・!食べ終えて帰るまで・・・!
席を立ったことなんて一度もねぇっ・・・!!!>
おでんを取りに行ったこともねぇ・・・!
途中でトイレに行ったことすらねぇ・・・!
つまり・・・俺は生まれてこの方・・・うどん屋での途中起立・・・!
それを一度もしたことが無いっ・・・!!
"竜一・・・!
自問自答・・・!"
<いいのか・・・!俺はこんなヘタレで・・・!
途中起立すらもしたことがないようなヘタレでっ・・・!>
"ククククク・・・!
ヘタレ・・・!?上等上等・・・!"
真剣勝負におでんもトイレもあるかっ・・・!
一度座ったら喰い終わるまで・・・!
絶対に起立せん・・・俺は絶対に起立せんぞぉっ・・・!
決。
<よしっ・・・!
左端に何が書かれてあるのかは分からねぇけど・・・!>
諦めよう・・・!
<左端に何が書いてあってもイイっ・・・!キニシナイ・・・!後悔は無いっ・・・!
俺の座右の銘は・・・『無理そうなら諦る・・・!』・・・!これだから・・・!>
店内はそんなに広くない三宅、注文は楽。
遥か彼方にいる店員さんを腹の底から出した大声で呼ばないといけない、なんてことは無く、
客はそっちのけ、店員さんどうしで談笑して楽しんでいる、なんてことも無く、
目で合図をするだけで、店員さんが来てくれる。
<こんな・・・うどん以前の些細なところにも・・・!
三宅の人気の秘訣があるのかな・・・!>
高知でも、讃岐うどんの本場・香川でも、
流行っている店とそうでない店には、
美味いとか不味いとか、好みに合うとか合わないとか言う前に、根本的に違うナニカを感じる。
注文して、待つ。
斬。
先にぶっかけ出汁と薬味が来た。
<大根おろしと・・・!練りワサビ・・・!
で・・・!なんだろうこれは・・・柚子か・・・スダチか・・・!仏手柑か・・・!
いいやいいや・・・!シークワーサーという・・まさかの攻撃もありうる・・・!>
疑心暗鬼している内・・・!
主役・・・!降臨・・・!
『冷やし天ぷらうどん(大盛)』
ゴーヤ。
綺麗なお姉さんも好きだけれど、
イボイボのゴーヤも、綺麗なお姉さんと同等に好きな私は、歓喜した、心の中で。
<衣・・・サクサク・・・!ゴーヤ・・・シュリシュリ・・・!
苦いゴーヤ・・・その影響で甘く感じられる衣の全速強襲っ・・・!!>
三宅先生、参りました。
秒速参ったセンチメートルである。
三宅の麺、若干に不揃いで、
突き抜けて独創的。
噛めば瞬時に魅せる・・・恐るべき感度・・・!
反応性・・・!
プリッッッ・・・プリッッッ・・・!
してやがるっ・・・!!
<歯が接触した瞬間に・・・プリッ・・・!噛み込んだら・・・クニュリプルンッ・・・!クニュリのちプルンッと来て・・・!最後・・・噛み切る一瞬に・・・またクニュリっ・・・!>
「プリッッッ・・・!クニュリ・・・!
プルンッッッッ・・・クニュリ・・・!」
このアルデンテ・・・!
三宅デンテっ・・・!
「表面が柔らかくて、中心が固い」
そういう通常のアルデンテの常識が通用しないような、独特の食感。
ズンッ・・・!
スキーリッッッ・・・!
スッキリッッッ・・・!
ブッかかってんだよっ・・・!!!!
『かき揚げうどん(中盛)』
<かき揚げが想像とは違うだろう・・・!もっとも俺は・・・三宅先生がこのパターンで攻めてくる事は・・・!重々承知していたがねっ・・・!>
『とがの藤家』で「やさい天うどん」を注文すると、一般的には「かき揚げ」という名で認知される物が乗ったうどんが来るけれど、『三宅』は、逆パターン攻撃だ。
食べ終えて、店前の駐車場。
一台出ては、また一台入ってくる車たちに、改めて三宅の人気ぶりを感じながら、住宅街を後にした。
◆ 麺房 三宅(高知市伊勢崎町)
営業時間 11時~16時
定休日 水曜日
営業形態 一般店
駐車場 12台(店の向かい側)
(冷やし天ぷらうどん740円、かき揚げうどん630円、
冷やし牛玉ぶっかけ710円、肉うどん630円、大盛150円増、中盛80円増)
『麺房三宅』の場所はココっ・・・!