気が付くと何年も会っていない知人に、「おーい元気か」と電話をしたりメールを送ったりして、
連絡を取ってみたりすることが誰しもあると思うが、私は、それと同じような感覚で麺屋に行く場合が多々ある。
昼に時間がある時は、昼にしか営業しない店が多いうどんを最優先するため、
必然的にラーメン屋には夜行くことになりがちで・・・この日も、やっぱり夜だった。
『ラーメン・牛すじ処 どば』
オープンして間もない頃に一度だけ来て、
その後は、うどん至上主義の世論ならぬ"竜一論"に押されて、
しばらく逢っていなかった『どば』である。
<店の前が以前より賑やかになってる・・・!>
うどん屋でもそうだけれど、こうやって店の外観から料理の様相や味など、
ひとつの店の変化を見るのは、他人の子の成長を見ているようで、本当に楽しいし、面白い。
(自分の子では無いという設定がミソである。笑い)
『どば』が入る前は喫茶店だったみたいで、
ラーメン屋とは思えないぐらい喫茶店風味の店内。
壁にある「みそラーメン」や「塩ラーメン」と書かれた張り紙だけが、
ここがラーメン屋であることを主張していて、
それさえなければ、私はサンドイッチとコーヒーを注文してしまっていただろう。
まぁ、それは冗談だが、冗談抜きに店内のテーブルの配置は、まったく変わっていなくて、
冗談みたいにド真ん中の席に座ってやろうかとも思ったのは冗談だけれど、
やはり座り慣れた席が良いと判断して、冗談抜きに前回と同じテーブルに着いた。
前回座ったのと同じイスだから、
私のケツに馴染んでいて、非常にシックリと来る。
しばらくイスの感触を確かめていると、まるでデジャヴみたいに、
前回同様、川中美幸に似たお姉さんが、水とおしぼりを持って来てくれた。
それを有り難く受け取って、見やるメニュー。
<新メニューきてるっ・・・!>
『あぶりチャーシュー丼』とある。
<ふむ・・・これはもしかして、
炙られたチャーシューがご飯の上に乗って、
丼に入っているみたいな状態かっ・・・!>
想像しただけで、気が遠くなった。
脳内で想像した「あぶりチャーシュー丼」のイメージが、
美味しそう過ぎて気が遠くなった、そして卒倒しそうだった。
目の前にあたかもぶら下がっているかのような
「あぶりチャーシュー丼」の誘惑に対して、もはや何も抵抗することなど出来ない。
炙りの誘いと湧き上がる欲望に身を委ね、
川中美幸姐さんに注文して、数分後。
『どば』の怒涛の攻撃が開始される。
『塩バターコーンラーメン チャーハンセット』
丸い!丸い!
惑星みたいに丸いチャーハンは、強力な重力によって物質を吸い寄せて、
米粒ひとつ逃さずに、圧倒的な丸さを形成している。
それにしても、チャーハンの重力のせいで、隣に置かれたラーメンのドンブリが、
徐々にチャーハンのほうに寄って行っているように感じて、気が気ではなかった。
さらにその後、厨房から川中姐さんが、ソロリソロリと、
抜き足差し足忍び足で慎重に運んできたソレを見て、息を呑む。
『みそバターコーンラーメン(大盛)』
メニューには「塩バターコーン」はあるのに、
「みそバターコーン」は無かった。
そこで、川中姐さんに「みそバターコーン」は出来ないのかと相談すると、
それなら「みそラーメン」にトッピングで「バター」と「コーン」にすれば同じだと言うから、
「じゃあそれで!」と注文した結果がコレだ。
褐色の海にそびえ立つ、
もやし、ネギ、コーンで形成された迫力の山、それは正に・・・。
氷山っ・・・!
<気を付けろ・・・!気を付けろ・・・!
氷山は危険だ・・・決してぶつかるんじゃないぞ・・・!>
氷山にぶつかると沈むから、
ぶつけたりすることがないように、慎重に箸で麺を取り出す。
<あら美味しそう・・・!>
中太だか中細だか中学だか中年だか、私にはわかりかねるが、
ちぢれてはいないし、フォークでもスライダーでもなさそうなことから、
「間違いなくストレート麺だ!」ということだけは判別できる。
そして、ズルズルとすすった・・・と言いたいところだけれど、
実はラーメンに限らず、うどんにおいてもスパゲティにおいても、
麺を「すする」ということが出来ない私は、パクパクと麺を折り畳むようにして「食べた」
<前よりも美味しい・・・!>
人の好みは十人十色で、当然のことながら人それぞれ違っているわけだが、
以前から、少なくとも私の中では好みの系統だった『どば』の「みそラーメン」
濃厚なる味噌の大胆ショットで強力に攻めおおす様は相変わらず。
だが、前回は存在しなかったバターの影響もあるのか、幾分まろやかさが増した印象、つまり・・・。
まろやか、且つ、濃厚・・・!
その中にあって、コーンのサクサクとした食感と甘さは大変重要な役割を果たしているし、
なにせ感銘を受けたのは、もやしの食感で、前代未聞のシャキシャキであり、
まだ今年も始まって4ヶ月ではあるけれど、これ以上のもやしは早々出てこないと判断して、決定。
どばさん・・・!
アンタ・・・!
ベスト・モヤシニストだよっ・・・!
こうして2012年ベスト・モヤシニストに選ばれた『どば』さんの次なる攻撃は、新作。
『あぶりチャーシュー丼(ミニ)』
日本人のアイドル・白米の上に、
褐色の香ばしさ漂うあぶりチャーシューと、丁寧に刻まれた青ネギが乗り、
我らが生姜大先生が頂点を朱に染めて君臨するという、色鮮やかな一品。
薄かったらかけてくれと、川中姐さんがタレを置いていってくれたけれど、
デフォルトの状態で申し分ない濃度だったから、かけずにそのまま貪り食う。
<チャーシュー!ホロホロ・・・!>
まだ今年も始まって4ヶ月ではあるけれど、
これ以上のあぶりチャーシューは早々出てこないと判断して、決定。
どばさん・・・!
アンタ・・・!
ベスト・アブリニストだよっ・・・!
こうして見事2冠に輝かれた『どば』さんの次なる攻撃は、トドメのラストアタック。
『肉ぎょうざ』
<前よりパリパリになってるぅ・・・!>
どばさん・・・アンタが・・・ベスト・パリパリニスト・・・ってもうええか。
食べて食べて食べて。
切実に重くなった腹を抱えて帰る。
川中姐さんの笑顔と、店主の威勢の良い声が印象的だった。
どばの記事一覧
ラーメン・牛すじ処 どばの店舗情報
所在地 | 高知県高知市知寄町2-2-3(地図) |
営業時間 | 11:00~21:00(LO.20:30) |
定休日 | 月、火 |
駐車場 | 有 |
店内 | ■カウンター席/有 ■テーブル席/有 ■座敷/無 |