2012!春の四万十ぶらり旅!
『手打ちうどん たも屋 春野店』 → 『四万十へ、新風追いかけて』 → 『UDON KUA'AINA (うどん・クアアイナ)』
→ 『西の西、足摺岬へ』 → 『道の駅 めじかの里・土佐清水』 → 『足摺海洋館』 → 「竜串海岸」 →
『グッバイ!土佐清水!』 → 『いろりや 肉醤油うどん & 力豚のカレーうどん』 → 『番外編』
怪岩奇岩の名勝「竜串海岸(たつくしかいがん)」へは、
「足摺海洋館」から車で1分。
歩いたとしても、簡単に行けるような距離だった。
広い駐車場。
停まっている車は疎らで、閑散としている。
案内標識に従って、海岸のほうへ歩いて向かっていると、
駐車場の片隅にある土産物店の前に立っていたオバチャンが、
「珊瑚(さんご)はいらないか」と声をかけてきた。
しかし、珊瑚に多くの興味はなく、
私はあくまで「珊瑚」よりも「饂飩(うどん)」であるから、
微笑を浮かべて適当にあしらって、海岸を目指した。
数隻の船が停まる海を左手に見ながら、
整備された道をテクテク歩いて行くと、堤防があった。
そのコンクリート壁に設けられた階段を登ると、
すぐさま見えた景観に、「おおっ・・・!」と声が漏れる。
砂浜が固まって岩になったかのように、
海の直前までカーテンみたいに波打つ茶色い岩肌が続く。
それは、「岩」というよりも、この辺り一体全部が、
ナニカ巨大な「生物」に思える。
竜・・・。
なんだか大きな竜の骨の上に乗っているみたいだ・・・。
圧倒的な迫力に飲まれて、
私は、しばらく立ち尽くした。
<これはすごい・・・!>
15時を過ぎていた。
本当は、このあと、
17時までの営業である四万十市のうどん屋に行きたかったので、
竜串海岸は少しだけ見て、すぐ四万十市に引き返そうと思っていたのだけれど・・・。
うどんを食べている場合じゃなくなった。
<この怪岩奇岩を見て帰らないと、
おそらく人生の9割を損する・・・!>
しかも、うどんは有料だが、竜串海岸は無料。
無料で絶景!こんなお得な話は、そうそう無い。
だが、元々、竜串海岸を歩く予定などまったく無かった私は、
厚底で、とてもオシャレな英国紳士風の靴を履いていたから、大変だった。
海岸の岩の上は、凹凸だらけ。
そのため、足をひねったり、転倒して骨折・・・。
などという、病院送り的な最悪の事態にだけはならないように、
細心の注意を払って慎重に歩いた。
自然さん側は、もちろん、人間が歩き易いように道を作ってくれていたりはしないから、
進む道が無い場所には、人間用の道がコンクリートで作られてあった。
しかし、必要最低限の幅で拵えられているので、
場所によっては、結構恐怖。
とにかく、病院送りにだけはならないように、
私は一歩二歩と歩を進めた。
誰が付けたか、様々な名が付いた色々な岩があった。
「蛇の千匹連」という岩は、
「蛇」というよりも「かりんとう」に見えた。
けれども、「かりんとうの千匹連」では、
格好が付かないし、あまりにも美味しそうだから、ダメなのだろう。
最初は、歩き辛くて苦労したが、
途中からは慣れてきて、ズンズン歩く。
ここは遠くて、なかなか来られる場所じゃないから、
詳細に、くまなく見ておく必要がある。
そこで、高い岩の上などにもドンドン登って、シッカリと観察した。
私は、大抵のことにはテキトーでいい加減だが、
日頃は、地球と、自然と、向き合って仕事をしているため、
自然のこととなると、徹底的に、見て、知って、味合わってみなければ気が済まなくなるのだ!
・・・と、テキトーに書いてみたが、
本当は、ただそこにデカイ岩があったから登ってみたかっただけで、
つまり、「ナントカと煙は高い所が好き・・・」という法則である。
極めつけ。
岩攻めの次は、山攻めだった。
「奇岩地帯を抜けてやっと帰れる思ったら、今度は山っ・・・!
ありがたいなぁっ・・・二の矢三の矢の攻めっ・・・!ありがたいっ・・・!」
「ヒイヒイ」言いながら、山を登って降りる。
コンクリートで舗装された道には「コケ」が生えていて、
地下足袋ならまだしも、今日の私は英国紳士靴なもので、滑る滑る。
スキー競技の「滑降」みたいに、滑りながら降りてきた。
そして、ついにやっと、
平坦でマトモな地面を踏みしめることができた。生還だ。
<岩!山!と来て、最後はコンクリートスキー・・・!
いやぁ・・・!ありがたいっ・・・!>
「所要時間約25分」とされていたところを、
岩に登ったりしていたため、倍ぐらいの時間をかけて歩いてしまったが、
とにかく、奇岩の迫力と、道なき道を行くスリル、最後は道の上で滑降する恐怖。
様々な冷や汗体験を、次から次へとすることができて、とても楽しかった。
しかも、これだけ楽しんでも無料なのが最高、冷や汗最高!である。
駐車場まで帰ると、来たときと同じく、
土産物店のオバチャンが待ち構えていて、声をかけてくる。
また珊瑚を売り付けられるのだろう、と思っていたら違った。
「おかえりなさい、楽しめましたかねぇ・・・?」
私は笑って、「はい」と答えた。
そのあとで、案の定、「珊瑚はいりませんか」と続いたが、
「あはは」と適当に笑って誤魔化して車に乗り込んだ。
私は、あくまで「珊瑚」よりも「饂飩」である。
(つづく・・・!)
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