生姜の収穫が始まる数日前だった。
畑から帰って、いつものように晩酌をしようとしていると、
唐突に、ラーメンが私を襲ってきた。
ラーメンは、私の頭の中を一気に埋め尽くした。
おかげで私はラーメンのことしか考えられなくなってしまった。
<どこかにラーメンを食べに行かなきゃ・・・
ぐぉっ・・・ぐぉっ・・・>
ラーメンを食べに行きたいのではない。行かなければならない。
行かなければ自分がラーメンに侵食されてしまいそうだった。
私は車を走らせて、南国市の「サンシャイン・カルディア」という、
光属性魔法みたいな名を持つスーパーのスグ東側にある
一軒の中華料理屋に助けを求めた。
『中華飯店とら』
(高知県南国市後免町4丁目1-12)
雨が落ちる夜だった。
個人経営の中華料理屋さん独特の、
ゆったりとした空気が流れる店内。
<想像していたよりも広い・・・!
大型バス2台分ほどの空間・・・!>
私は、店のほぼ中央に置かれた
4人掛けのテーブル席に腰を下ろした。
私の着席を確認してから、
水が入ったグラスを手に持って歩み寄って来る女将さん。
ドッシリとした体格の大将が、厨房で鍋を振るっている。
<大将・・・!強そう・・・!>
中華料理屋だから、
メニューには当然、中華料理屋らしいメニューが並んでいた。
しかし、私は「酢豚」や「エビチリ」には目もくれず、
麺類の記載を凝視した。
もうラーメンしか、見えない・・・。
『チャーシュー麺(大盛)』
湖面を覆う・・・!
肉っ・・・肉っ・・・チャーシュー・・・!
<流行のトロトロ・タイプじゃない・・・!
昔ながらの歯応え・・・ガッツリタイプっ・・・!>
柔らかめに湯掻かれた麺との食感の対比。
それは須崎「鍋焼きラーメン」に使用される、親鳥と麺の関係を彷彿させた。
『半チャーハン』
量、多め。
<2分の1でこの量・・・!
五台山みたいな大きさじゃないか・・・!>
ありがたいっ・・・!
ありがたいっ・・・!
五台山に感謝っ・・・!
そんな思いで食べたそれは、
濃いめのかなりシッカリした味付けで、
ブォンブォン攻撃してきた。
『焼餃子』
中華料理屋さんやラーメン屋さんに行くと、
頼まざるを得ない心境になって、高確率で頼んでしまう焼餃子。
<皮が・・・ムチムチしてる・・・!
中から汁がっ・・・ぐおぉぉっ・・・!>
幸せの形は、餃子の形っ・・・!
『塩ラーメン』
「とら」の虎のように力強い攻撃を受けまくって、
ヨタヨタしながら家路に着いた。