『EP2を読む』
気が付けば俺は…!
ひろめ市場の雑踏の中…!
鰹と未来予想図を描いていた…!
鰹に向かって……!
ブレーキペダルを5回点滅させている場合じゃない…!
<ダメだ…ここで踏みとどまらなきゃ…!
このままじゃ……鰹取りが鰹に………!!>
ヨロヨロと立ち上がった。
タタキのタレの味が、舌の上に残っている。
「もう1杯食べたい…あと1杯だけ……」
しかしダメ。自分の気持ちを抑えなくてはいけない。
おそらく、ひろめ市場内には、まだたくさんのタタキ丼が存在する。
<でもダメ…!踏みとどまらなきゃ…ダメっ…!>
おぼつかない足取りで通りがかる。
『くじら専門店 千松(せんしょう)』と書かれた店の前。
<げっ…!ここにもタタキ丼がある…!
くじら専門……なのに鰹タタキ丼がっ…!!>
誘惑の文字列。
妖艶のタタキ丼。
<立ち去れっ…早く立ち去るんだ…!危ない……この感覚は危険……!吸い込まれそうだ……!!>
くそぉ…踏ん張れ…とどめろ…!
この胸いっぱいのときめきを…!!
だが急流に飲まれ、溺れ始めている状態で「踏ん張る」などということは、土台無理な話。
足がついてもいないのに踏ん張れない、踏ん張れるわけがない…!
<うぐっ…ダメだ…こうなったらもうダメ…!この現況で…流れに逆らうことはできない…!だったら…もういっそ……!>
流されてしまえ……!
<俺は食う…もう1杯タタキ丼を食う…!!>
むしろ………
抑える?
なにそれ?
俺は…どうかしていた……!
そうだよ…なにを抑えようとしていたんだ…!
抑えて気取るなんて…ガラじゃない……!
俺は元来……!
制御不能系農民……!!
紆余曲折を経たように見えるが、
実際にはこの間、わずか10秒。
早速、『千松』にて注文する。
<席まで持ってきてくれるって…!持ってきてくれるパターン…3軒目にして初めてだ…!>
しばらくしてから持ってきてくれた。
『千松・鰹タタキ丼』
(850円)
<きたきたっ…!チキンナゲットと冷奴も頼んでやったぜ…!ただ…オカズが欲しかったんだ…!>
タタキ丼の向こう側。
どこかで見た、あっちゃん。
ひろめといえば…!
ファミーユだろうが…!!
というわけで、『ファミーユ』に場を移して食べる、千松のタタキ丼。
千松は…味噌汁つき……!
本池澤は、お吸い物。
千松は、味噌汁。
それぞれ違う汁物。
薬味は定番のニンニクスライス。
<あぁっ…でも味噌汁だけじゃ…まだ喉の渇きが潤わないかもしれない…>
鰹は意外と水分を持っていく…!
想定外に鰹は水分を持っていく…!
あぁっ…!喉渇く…!
鰹を見ているだけで喉が渇く…!!
仕方なく、あっちゃんに注文する。
「す…すいません…ソルティードッグを…!」
って………!
なにこの不安定なグラスっ…!!
底が湾曲していて、少し触れただけでグラグラ揺れる。
<中身をブチ撒きそうで怖ぇぇ…!でもたぶん撒けないように出来てるんだろうな…>(それがそうでもなかったりして)
ソルティードッグも入れてもらって…
舞台は整った………!
鰹はまるで…
俺を待ってくれていたみたいに…
丼の中で微笑んでいた……
この鰹。
あっちゃんにも、渡さない。(笑)
昼間からソルティードッグを煽りながら、タタキ丼を食べる。
これが、これこそが、ひろめ市場。…ひろめ市場だ!
(タタキをめぐる物語は終わらない…!EP4へ続く…!)
『EP4を読む』