暇なとき。
高知県民はみんな『イオン』に行く。
『イオン』とは、『イオンモール高知』のことで、言ってしまえば、ただのショッピングモールだ。
だが高知にはイオンしかない。
冗談抜きにイオンしかない。
まだアウトドア派高知県民なら、太平洋や四万十川、四国山地、および秘境など選り取り見取りだろうが、私のようなインドア派には、イオンしかない。
イオン以外では酒場が唯一の楽しい場所だが、昼間から酒を飲むのは健康に悪そうだ。
だからやっぱり暇なとき、イオンに行ってしまう。
イオンに行かないと手が震える。
プルプル震えて止まらなくなる。
イオンはいつも賑わっている。
どこにも人がいなくても、イオンには芋を洗うほど人がいる。
もはや高知県中の人間がイオンに集結しているとしか思えない状況だ。
そんな高知一のホットスポットで、私はうどんを食べていた。
そう。
私はいつだってうどんと一緒だった。
『釜玉(大)・サーモン丼セット』
(by ぶっかけうどん・ふるいち・イオンモール高知店)
広々としたフードコートで食べる、うどん。
その上には、オシャレに唐揚げをトッピングしてみた。
さりげない載せかたにセンスが溢れる。切実にビールがほしい。唐揚げにはビールだ。
これだけでもよかった。
でもたしか+200円だったかで『サーモン丼』を付けれるとあったので、口車に乗せられて付けた。
やれやれ。
ふるいちの思う壺だが、サーモンの誘惑には勝てない。勝てるわけがない。
多くの人々が、おっぱいの誘惑に勝てないように…。
しかし、そのサーモン丼。
私がイメージしていたサーモン丼とは違った。
<スーパーで売ってるネギトロみたい…こうきたか…こうきたか…ふるいち…!>
あの場所に打ちさえしておけば…!
俺を投了させることすら可能だったのに…!
身が潰されたサーモン丼を食べながら、釜玉も食べる。
「全卵入れていいか」と訊かれたとき、「あっ…はいっ…!」と憧れの先輩に声をかけられた女子みたいな声で答えてしまったことを食べながら思い出して、少し憂鬱になった。
憧れの先輩…もとい店員さんは、麺上に全卵を2個投入してくれた。
おかげで麺と玉子の絡まりかたが凄まじい。
おかげで、ついつい言いたくなる。
麺と玉子の…!
圧倒的…団結力っ…!!
黄色い、黄色い、満月の代わりになりそうな釜玉だった。
それから、ついつい親子丼とミニうどんのセットもつまんだ。
玉子がこれまた半熟で凄まじかった。
でも親子丼は四角い容器に入っていたので、満月の代わりにはできないかもしれない。
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