高知市の産業道路を西へ進んで『麺房まつみ』の前に差しかかる。
いろいろなうどん店を食べ歩いているため、一年の内で同じ店に複数回行くことがなかなかできないのだけれど、『まつみ』はここ数カ月で、すでに何度目かだ。
「おっ!珍しい!駐車場あいちゅう!」店の西側に二台分ある駐車場が両方とも空車になっている。奇跡的。「まぁもう2時やもんな」
よもやの麺切れを少しだけ覚悟しながら店に入ったが大丈夫そうだ。
蒸し暑い日だった。冷たいうどんが食べたい。けれども、まつみのメニューに『冷やかけ』の記載はない。しかし注文すれば冷たい出汁にしてもらえる、そんな話を聞いて言ってみた。
「天ぷらうどんのぉ、冷やかけってできますぅ?」
「できますよ!」と大将。
「ほいたら、天ぷらうどんの冷やかけ大盛で!」
初めての『まつみ』の冷やかけ。しかも『まつみ』は天ぷらも美味しい。天ぷらマスターだと知っている。
まつみの天ぷらうどんを冷やかけで食べる。考えただけで…。
<テンション上がるー!>
本当は特盛(3玉)にしたかった。でも大盛(2玉)にした。お腹の膨張具合が気になるからだ。
『天ぷらうどん冷やかけエディション』は大将が直々に出してくれた。
<きたぁぁぁっっ…!>三十過ぎて年甲斐もなく興奮してしまう。
<すごい!盛りがっ!攻撃力が違うっ!>
ニンジンにカボチャにエビ天。何種類入っているのかわからない。豪華絢爛の天ぷらうどんだ!
歯応えプニプニ。舌に優しく触り、喉を滑らかに通り抜ける柔らかいがコシのある麺。少し平べったい形状をしている。
これほど優しさに包まれた麺がほかにあるだろうか。いやない。きっと作り手の心が麺にも乗り移っているに違いない。
平べったい部分に冷たい出汁が載り、小麦と出汁が同時に身体の中に入ってくる。
「こりゃあ…旨い」どっかのお爺みたいに呟くしかない。旨いとしか言いようのない旨さだ。
このルックス。この味。
美人でしかも性格もいい、中越典子みたい(永井めっ!)。
讃岐うどんの世界では、硬い麺を「男麺」、柔らかい麺を「女麺」などとよく言う。その分類でいくと、まつみのうどんは完全に「女麺」で、まさに女の中の女。最強の女。
(『冷やしおろし肉(中盛)』も、かなりの女)
産業道路の名店『まつみ』
まつみには綺麗な麺がたくさんいる。美人だらけだ。